国境なき医師団(MSF)が、22年におよぶソマリアでの医療援助活動を終了し、撤退するという先日の発表は、国際政治そして人道援助関係者に少なからず衝撃をもたらした。世界がこの国の復興と安定を目指して前向きな議論を始めた折も折、最悪のタイミングだったかもしれない。 まず断っておきたいが、MSFは一国の政治や経済の発展について意見する団体ではない。我々の活動の重点は何よりも、人びとの健康と、必要な時に医療を受けられる環境づくりに置かれている。ソマリア人の大多数は、病気やけが、栄養不良に見舞われても質の高い医療を受けられる機会が非常に少ない。MSFは、この国のほぼ全土で活動しようと必死に努めてきたが、一方で、武装警護を例外的に導入するなどの妥協も強いられてきた。 この国でMSFを待ち受けていたのは度重なる襲撃、拉致、そして16人ものスタッフの殺害だった。脅迫、窃盗、その他の威嚇行為も頻繁に起きてい
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