震災から2カ月が過ぎた被災地で、本を求める人が増えている。被災者の要望で宮城県気仙沼市に登場した「青空書店」には多くの人が詰めかけている。岩手県沿岸の図書館では震災後、新規の利用者登録が急増。写真集や郷土史など震災・津波にまつわる本に関心が集まっている。 「ずっと待っていた。どれを選ぶか迷います」。青空書店初日の16日、津波で全壊した気仙沼市内の自宅から1時間かけて歩いてきた斎藤寿和さん(43)は笑顔を見せた。 本好きで蔵書が1200冊あった。健康関連本と「歴史に残ることだから」と震災特集の写真集を買った。 青空書店は、地元で書店を経営する千田満穂さん(73)が企画した。東京から出版取り次ぎ大手のトーハンが絵本や雑誌、漫画など5千冊を運び、千田さん経営の自動車販売会社の駐車場に並べた。 被災地では多くの書店が壊れ、再開のめどが立っていない店も少なくない。千田さんには「再開して」とい
栃木市の遺跡で発掘された土偶をモチーフにしたキャラクターの着ぐるみが県立博物館に贈られた。同館は秋に企画展「土偶の世界」を予定しており、PR役にと学芸員らが土偶の着ぐるみを発案した。 モデルとなった土偶は、栃木市の後藤遺跡から発掘された全長12.8センチのもの。縄文時代のものとされる。着ぐるみは、文化施設の企画・設計などを手がける会社「オオミヤ」(宇都宮市)が制作し、寄贈した。女の子という設定。身長は170センチだ。 「こんなに可愛いとは思わなかった。丁寧に作ってもらえてうれしい。博物館のイメージアップにつながれば」と同館の船橋政従館長。オオミヤの大宮航社長は「全国でもめずらしい土偶の着ぐるみ、歩くと頭が左右に揺れて可愛いんですよ」と話した。 同館はキャラクターの名前を11、12日の来館者から募って決める。両日は県民の日のイベントとして入館無料。
色鮮やかな浮世絵の中で、愛らしい猫がたわむれ、おどろおどろしい化け猫がにらむ。猫が登場する作品ばかりを集めた「浮世絵猫づくし にゃんとも猫だらけ展」が、広島県三次市東酒屋町の奥田元宋(げんそう)・小由女(さゆめ)美術館で開かれている。 猫は愛玩用に限らず、怪談にも登場するミステリアスな存在でもあった。そんな猫を題材にした江戸後期から明治中期までの約130点が展示され、「猫好きにはたまらない絵画展」(同館)となっている。 女性の足元で猫がじゃれたり、そばで寝転がったりしている美人画。擬人化した猫の忠臣蔵四十七士姿や百面相を描いた戯画。歌舞伎に化け猫が登場する役者絵。愛猫から怪猫まで、庶民にとって猫が身近な存在だったことをうかがわせる作品が並ぶ。中でも無類の猫好きとして知られた歌川国芳の作品は40点以上。ほかに、歌川国貞、広重らの作品も展示されている。 同館の松原香織学芸員のお勧めは、絵の中の
伊丹市立博物館が、1995年の阪神大震災の被害状況や復旧・復興への足取りをまとめた「阪神・淡路大震災〜伊丹からの発信」“手引・資料編”=写真=をつくった。近現代史の中に震災を位置づけて解説する“本文編”も来春に刊行する予定だ。 震災の記憶を次の世代に引き継いでいくねらいで博物館が続けてきた調査成果の一つで、700ページ近くと分厚い。年表や統計などの基礎データのほか、避難所の運営やがれき処理、市バスの運行などについて、行政が現場レベルでどう対応したかを示す資料をテーマ別にまとめた。 仮設住宅入居の手引きや、バスの臨時運行に関するメモ、家屋の被害状況のチェックリストなど、当時を思い起こさせる資料も少なくない。 市内の被害は死者23人、負傷者2716人、住宅の被害は全壊の1395棟を含めて2万8千棟以上に及んだ。冊子には、全壊した阪急伊丹駅の駅舎や、給水に並ぶ市民などをとらえた写真50枚以
鳥羽水族館(三重県)の学芸員の上岡岳(がく)さん(40)が、40歳以上のJAWA全日本マスターズアームレスリング大会で準優勝した。日本代表に選ばれ、9月に中国で開かれるアジア大会に向け、剛腕を鍛えている。 全日本大会は今月3日、さいたま市で開かれた。上岡さんは男子40代無差別級に出場し、左腕の部は初戦で敗れたが、利き腕の右腕の部で準優勝した。 競技を始めたのは23歳のとき。体力や健康維持のために通っていたジムの会長に勧められた。腕に覚えもあって県大会に出場したが、結果は「惨敗でした」。まずは三重を制覇したいと、鍛錬を重ねた。 16歳以上を対象にした一般の部では、1997、99年の県大会で優勝。2006年の全日本社会人大会で準優勝し、07、08両年のアジア大会、08年の世界大会にも出場した。アジア大会では、いずれも5位と6位で入賞を果たした。だが、「一般の部では、もう体力的に無理」と、38歳
東京電力福島第一原発から20キロ圏内にある福島県大熊町から避難してきた住民が暮らす田村市の船引就業改善センターで、町職員が発行する「避難所新聞」が好評だ。炊き出しのメニューや食品の取り置き方法などをイラスト入りで掲載。住民たちは「とても役に立っています」と話している。 新聞を発行しているのは、いわき市在住で大熊町図書館司書の風間真由美さん(35)。自宅は警戒区域には入っていない。震災後、5歳と3歳の2人の息子は宇都宮市の夫の実家に預け、町民とともに避難所に泊まりこみながら避難所の運営を担っている。 震災から約2カ月で、子どもたちに会いに行ったのは4〜5回。久しぶりに会うと、息子たちは赤ちゃん返りをして、普段よりも甘えてくる。県内に戻る日は子どもたちが目を覚ます前にそっと夫の実家を後にする。「かわいそうだなとも思うけど、転校先の保育園にも喜んで通っていると聞くと安心します」 新聞の発行は、町
鈴木英敬三重県知事は21日、2007年10月に閉鎖された津市広明町の県立博物館を訪れ、収蔵庫などに置かれた動物の剥製(はくせい)や美術工芸品など約28万点の一部を視察した。 鈴木知事は知事選で「歳出項目ゼロベースの総点検」を掲げており、着工中の新県立博物館も対象だ。 視察では、収蔵品の由来や歴史について職員から説明を受けながら、閉鎖前の展示について「意味や価値がわかるような説明は書いてあったか」といった質問を繰り返した。 終了後は取材に対し「すごいと思うものもあったが、価値が子どもや素人にも理解できるような展示になっていたかはやや疑問が残った」と感想を述べた。 一方、新県立博物館設立の可否については、「収蔵品は(新博物館の)コンテンツの重要な部分で、判断の参考にはなった」と述べるにとどめた。(高浜行人)
藤枝市が4月から「郷土博物館・文学館」「国史跡志太郡衙(ぐんが)(跡)資料館」「史跡田中城下屋敷」の市を代表する四つの文化施設を直営に戻した。これまでの3年間は指定管理者制度を導入し、管理運営を受託した民間企業が入館者を増やしていた矢先だった。方針転換はなぜ起きたのか。 ■学芸員強化、業者が二の足 桜や藤で彩られる蓮華(れんげ)寺池公園の一角。れんが色の郷土博物館・文学館で、昔懐かしい藤枝などの古民家を再現したミニチュア展と、郷土作家小川国夫の書斎を再現した「作家のしごと」の二つの企画展が開催中だ。市直営が決まった昨秋から学芸員の資格がある職員が準備を進めてきた。 4年ぶりに市が手がけた企画展初日の4月9日。オープニング式典で、管理と運営を任された文化財課の職員が緊張ぎみに、来賓の市議会議員や来館者を出迎えた。桜井幹夫副市長は、展示企画を3年間担った民間企業が入館者を増やした実績に触
大阪府堺市は、市内に避難している東日本大震災の被災者に「被災者サポートカード」を発行し、博物館など市の施設を割引料金で利用できる支援サービスを始める。市が把握している市内の130世帯、約300人の被災者に26日からカードを郵送する。 竹山修身市長が18日の定例会見で発表した。当面は市博物館(堺区百舌鳥夕雲町2丁)や農業公園「ハーベストの丘」(南区鉢ケ峯寺)など計46施設の利用料金を1〜3割程度割り引く。また、図書館の貸し出しや老人福祉センターなども市民と同様に利用できる。民間施設へのサービス拡大も検討している。 会見で竹山市長は「避難生活が少しでも潤い、堺の街をより知ってもらうことにつながれば」と話した。 問い合わせは市ワンストップサービス窓口(072・228・7834)へ。(野中一郎)
米子市は、同市中町の市立図書館と美術館について、増築やバリアフリー化を盛り込んだ整備基本設計案をまとめた。2013年8月の利用開始を目指す。 設計案によると、図書館は、隣接する噴水を撤去して開架スペースなどを増築。1階には、親子らが使える児童開架スペース、2階には会議などに使える研修室を新設する。すべての開架スペースをバリアフリー化し来館者用のエレベーターも新設する。 図書館に隣接する美術館は、内装や外壁をリニューアルするほか、自動ドアの新設やエレベーターの改修で、車いすでも自由に利用できるようにする。敷地内にある旧市立第二中学校の建物は解体して、創作展示活動ができる広場も作る。 市は、20日〜6月30日に市民から意見を募集して、9月末に基本設計を策定。6月25日午後2時から、同市錦町1丁目の市福祉保健総合センターで市民説明会も開く。問い合わせは市教育委員会生涯学習課(0859・23
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