京都大医学部(京都市左京区)の歴史を紹介する資料館併設の基礎医学記念講堂が完成し、11日、記念式典があった。ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授らが、iPS細胞◎(人工多能性幹細胞)の作製に初めて成功した際に共同研究者と交わした議論のメモの複製など58点を展示。4月以降に予約制で一般公開する。 1902年(明治35年)に建築された木造平屋約290平方メートルの旧解剖学講堂を改修。資料館と学生が授業に使う講堂がある。 山中教授のメモは、高橋和利講師との議論をパソコンでまとめたもの。特定の遺伝子をマウスの皮膚細胞に導入することで、iPS細胞ができた過程を記している。1911年に細菌学者の野口英世が京都帝国大から博士号を受けた際の論文や、江戸期の西洋医学の翻訳書「解体新書」(いずれも複製)なども展示される。問い合わせは京都大医学研究科(075・753・4300)。 ◎iPS細胞=indu
全国の書店員が選ぶ今年の本屋大賞を受賞した「海賊とよばれた男」のモデルになった出光興産創業者の出光佐三(1885~1981年)が、学生時代に就職希望先などを記した文書について、保管先の神戸大が21日から、神戸市灘区の百年記念館で開催する特別展で初公開する。「大企業ではなく個人商店への就職を望み、将来は独立したい」と起業を強く望んだ思いがにじみ出ている。 文書は卒業前の1909年1月、神戸高等商業学校(現・神戸大)校長あてに、個人面談用として提出したもので、縦21センチ、横34センチの1枚。冒頭で名前や家庭の状況などに触れ、長所・短所としては、「石橋ヲ叩キテ渡ル的ナル故往々機を失スルコトアリ」(石橋を叩(たた)いて渡るところがあり、時機を失することも度々ある)と、自己分析している。 就職先に関しては、「箇人商店ニ就職スルヲ希望ス」(個人商店への就職を希望する)、「将来小資本ナリトモ独立商業経
お薦め本を交換できる棚「カエボン」。恋愛本ばかりを集めた棚もイベントに合わせて設けられる(兵庫県伊丹市立図書館で)=石原敦之撮影 「本のような恋しませんか」。恋愛がテーマのお薦めの本を持ち寄り、独身男女で交換し合うイベント「恋のカエボン」が7月27日、兵庫県伊丹市立図書館(伊丹市宮ノ前)で催される。お堅いイメージの公立図書館を出会いの場として演出し、若者たちに身近に感じてもらうのが狙いだ。 参加は20歳以上の男女各12人。図書館で対面した後、お気に入りの1冊と、グッときたポイントを1人ずつ紹介。近くの人気料理店に場所を移し、お酒や食事を楽しみながら交流を深め、最後に本と一緒に連絡先を交換してもらう。 一方、同館では昨年7月の移転を機に、利用者が持ち込んだ本を交換できる専用棚「カエボン」を設置。お薦め本にコメントを手書きした帯を付けて受付に預けると、この棚に並べてもらえ、自分も他の人の本を借
「宮本武蔵」や「三国志」で知られる作家・吉川英治らの作品が、今年から自由に利用・閲覧できるようになり、元日以降、ネット上に続々アップされている。没後50年が過ぎて著作権の保護期間が切れたためで、今年は、ほかに「遠野物語」を著した民俗学の祖・柳田国男、詩人の室生犀星らも加わる“当たり年”。「吉川三国志がネットで無料で読める」などと、ファンらの間で注目が集まっている。 文学作品の著作権は、著作権法で「著作者の死後50年を経過するまで存続」と定められている。没した翌年から計算されるため、1962年の物故者の場合、昨年末で切れ、今年から無許可で使用できるようになった。 著作権の切れた作品をインターネット上で無料公開している「青空文庫」の運営者・富田倫生さん(60)は「人気作が多く、例年にない話題性」と話す。昨年末から「年が明けたら早く公開して」との要望が相次いでいたといい、元日に柳田の「遠野物語」
大阪府と大阪市が進める府立大(堺市中区)と市立大(大阪市住吉区)の統合に向け、府市は両大学を統合した新大学を創設し、2016年度に開校する方針を固めた。府市が「大阪都」移行を目指す15年度に両大学の運営法人をまず統合し、新大学の学生募集を始める。 統合を巡っては、両大学を運営する公立大学法人のみ統合し、大学は二つのままとする「1法人2大学」案もあったが、理系分野が強い府立大と、文系や医学系の評価が高い市立大の組織を統合し、「1法人1大学」にして競争力の強化を目指す。 統合は、松井一郎知事と橋下徹市長が「アジアの大学間競争に打ち勝つ」として推進。府市統合本部の作業部会で統合の手法や時期を協議してきた。 府によると、14年度に両大学の事務局を一つにし、理事長も兼職にして統合の旗振り役を担ってもらうという。両大学のキャンパス内にある施設の建て替えや再配置などは、新大学の開業後に検討する。 府立大
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は今秋、被爆者から寄せられた約13万編に及ぶ体験記のデータベース化に本格的に着手する。従来、資料収集に力点を置いてきたが、今後は、貴重な「記憶」を風化させず、多くの人が共有できるようインターネットなどによる情報発信に重点を移したい考えだ。 同館は2002年に開館して以来、原爆被害を後世に伝えるため、被爆者が書き残した体験記や本などを収集。06年からは書くのが困難な被爆者のもとに職員が出向き、体験を聞き取って記録している。 今年7月までに収集した体験記は13万4111編で、館内の資料室でファイルや冊子に閉じて保管している。大半は手書きで、難しい旧字や古い表現を使っているため、今後、若い世代にも読んでもらうため、新字体やわかりやすい表現に直してパソコンに入力。キーワード検索も手軽にできるデータとして記録する。 作業はシルバー人材センターなどに委託。
集客施設への転用が検討されている大阪府立中之島図書館。奥は大阪市中央公会堂(大阪市北区で)=金沢修撮影 ギリシャ神殿を模した外観で知られる国の重要文化財・大阪府立中之島図書館(大阪市北区)について、橋下徹・大阪市長と松井一郎・府知事が、美術館やカフェなど集客施設への転用を検討していることがわかった。昨年度30万7695人の利用者があり、府立としては同市内唯一の図書館だが、約50万冊の蔵書を他の施設に移し、隣接する赤レンガの市中央公会堂(重文)も含めて中之島一帯を都心部の観光ゾーンとして売り出す考えという。 橋下市長が「素晴らしい歴史的建造物で、図書館である必要はない。美術館利用はできないか」と、松井知事に検討を呼びかけた。府市特別顧問で、府市統合本部の都市魅力戦略会議座長の橋爪紳也・府立大教授も同調した。蔵書を府立中央図書館(東大阪市)、市立中央図書館(西区)に移し、にぎわい施設として活用
関西文化学術研究都市の中核施設・国際高等研究所(京都府木津川市)が今秋、研究者と大学院生が世代や分野を超えて議論する「学術道場」を初めて開く。学生たちが新たな知識や発想方法を学び、自身の研究の方向性を見極める手助けをするのが狙いだ。分野を超えて研究者と学生が意見を交わす場は珍しく、同研究所は「道場破り歓迎。積極的な、意欲ある学生を発掘したい」としている。 同研究所は「人類の未来と幸福のために何を研究すべきか」をテーマに、新たな学問の創造を目指す基礎研究を幅広く進めている。 学術道場は、禅が芸術や生活に与えた影響の究明、宇宙科学・地球科学と人間社会のかかわり方の考察など、14の研究プロジェクトで実施。各プロジェクトで異なる分野の研究者を目指す大学院博士後期課程の学生をそれぞれ2〜3人ずつ募集し、学生は1〜2泊して研究会に参加する。 同研究所の尾池和夫所長や、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英
教養課程、14年度授業開始 京都府は1日、府立大、府立医大と、国立の京都工芸繊維大が教養課程を共同で行う校舎を京都市左京区内に新設し、2014年度から授業を始める、と発表した。文部科学省は「国公立大が合同で校舎を設けるのは全国的にも珍しい。幅広い学びを学生に提供でき、意義のある取り組みだ」としている。 新校舎は、3大学から3キロ圏内にある府立大の農場(約9000平方メートル)を転用して建設。各大学の教員が授業を行うことで、学生は幅広い分野の科目選択が可能になる。クラブ活動などの連携も期待されている。3大学は06年に協定を結んで、教養課程の単位互換制度を導入している。府立の2大学は施設が老朽化しており、将来的なコスト削減にもつながるという。 府大学振興課は「異なる進路希望や価値観を持った学生たちが交流することで、社会性が身につき、人間力も高められる」としている。
京都大病院(京都市左京区)で、がん治療の中心となる新病棟「積貞棟(せきていとう)」=写真=の完成記念式典が18日、行われた。高さは31メートルで、2007年に導入された新景観政策による高さ規制(20メートル)を上回ったが、京都市は、公共性が高く、景観にも配慮しているとし、特例として初めて規制を除外した。今月末に診療を始める。 新病棟は地上8階地下1階建て、延べ床面積は約2万平方メートル。放射線治療科、血液・腫瘍(しゅよう)内科、呼吸器外科、消化管外科、泌尿器科などがある。 08年7月に着工し、総事業費約75億円のほぼ全額を、任天堂相談役の山内溥(ひろし)さん(82)が寄付していた。
今年4月に開業100年を迎えた京阪電鉄(本社、大阪・天満橋)で、トンネル掘削や高架橋建設を記録した社内映画などの原盤フィルムが200本近く見つかった。かつての工事の模様や駅の風景などがわかる貴重な映像。今後、デジタル化、保存を進める。 100年記念事業のための資料収集の過程で今年3月、現本社のあるOMMビルの東隣に立つ旧本社ビル地下倉庫で見つかった。 1960年から3年がかりで行われた天満橋―淀屋橋間の地下線新設工事の映画「鉄路と汗」(カラー、49分)、60年代から70年代半ばに進められた天満橋―寝屋川間の高架・複々線化の記録、各時代のテレビCMなどが含まれる。 「鉄路と汗」は劣化が激しく、最新の修復技術でデジタル化した。コンクリートの箱を土佐堀川に沈める特殊な工法を採用した天神橋付近で、半裸の作業員が箱の下に入って川床を手作業で掘る様子や、終点だった天満橋駅で通勤客が市電やバス、タクシー
奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)で5日、入学式が行われ、中国、インド、米国など9か国・地域の10人の留学生を含む424人が新たな大学生活をスタートさせた。 磯貝彰学長は、文部科学省が全国の国立大学法人を対象に行った総合評価で1位になったことに触れ、「奈良が国際的な発信拠点として発展し、その中心に本学が存在したい。86の国立大学法人でダントツの一番となったことを誇りに、科学者としてのキャリアを積んでほしい」と激励した。 同大学の入学式では狂言の上演が恒例で、大蔵流狂言師、茂山千三郎さんらが「鬼瓦(おにがわら)」を披露=写真=、新入生は式の緊張を解いて楽しんでいた。 中国・山東省出身で大連理工大を卒業し、情報処理を研究するために入学した羅彦彦(ラエンエン)さん(25)は「ここは日本でトップレベルの学校。勉強には最高の環境です」と笑顔で話した。
京都工芸繊維大の学生が、京の台所・錦市場(中京区)の36店舗などをデザインした手ぬぐいを制作し、それぞれの店舗の店先に飾ってある。展示は23日まで。市場全体のイメージをデザインしたものも含め、計42種類ある。 同市場は、江戸時代の絵師で鶏画が得意だった伊藤若冲(じゃくちゅう)が出生した地であるため、京都錦市場商店街振興組合と同大学などが企画した。漬物店をモデルにした手ぬぐいは、タルの上を漬物石がコミカルに動く絵柄になっており、だし巻き卵の店では、ヒヨコ、ニワトリ、卵がかわいらしく並ぶ作品になっている。 デザインを担当した修士課程2年高橋耕平さん(25)は「作品がお店の看板のように掲げられ、励みになります」と話している。
京都造形芸術大学(京都市)と東北芸術工科大学(山形市)は来年7月、東京・港区の明治神宮外苑に合同キャンパス「日本文化芸術研究センター」=完成予想図=を新設する。世界の平和創造に役立つ研究開発を目指すという。 茶道裏千家家元の千宗室さんがセンター長に就任する。このほか、日本画家の千住博さん(京都造形芸術大学長)、批評家の浅田彰さん(同大学院長)、建築家の隈研吾さんらが設立準備委員としてセンター全体の構想に当たる。 学生だけでなく、芸術家、研究者、一般の社会人が集まり、環境問題など現代社会が抱える課題を長期的視点で解決する企画・研究プログラムや、茶の湯から現代アートまで文化芸術に関連する幅広いジャンルの社会人向け講座を設ける予定。 また、日本の自然と文化をモチーフに、子どもを対象にした教育プログラムも充実させていきたいという。浅田彰さんは「子どもこそが真のアーティスト。彼らの持っているポテンシ
関西で独自ファンド相次ぐ 関西の金融機関が地元大学との連携を強めている。大学の持つ優れた新技術や特許などを中小企業に紹介し、新規事業の立ち上げなどにつなげるのが狙いだ。大学側も、少子化による競争激化で経営が厳しく、技術が実用化されれば研究資金獲得などが期待できるため、双方の思惑が合致した格好だ。 中小企業の多い関西では、不景気で企業の資金需要が細る一方、「優良企業を囲い込もうと、大手も含め、低利での融資競争が激しい」(地銀幹部)のが現状だ。国の制度を利用した低利融資も広がっており、金融機関は、従来の顧客をつなぎ留め、新たな融資先を開拓するために、投資ファンドの設立など他行との差別化に知恵を絞っている。 池田銀行は8月、神戸大との間で、取引先企業との共同研究や技術マッチングを推進する産学連携協定を結び、関連ベンチャー(新興企業)に投資や融資を行う専用のファンド(総額1億円)を創設した。「地域
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