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ブックマーク / magazine-k.jp (37)

  • 日本十進分類法のオープンデータ化に向けて

    図書館は、分類番号順に棚に整理されています。このとき使われる分類規則、日十進分類法(NDC)は、国内の図書館の事実上の標準となっています。 しかし、二次利用やデータ公開が公益社団法人である日図書館協会により大幅に制限されており、検索精度の向上や様々な分野での図書館データベース活用の大きな障害となっています。また、カーリルのような新しい事業者には多額のライセンス料とデータの再配布を制限する契約を要求する一方、従来からNDCを活用している事業者はライセンス料を一切負担していません。このような運用は公益社団法人としてふさわしいものではありません。 NDCは公共性の極めて高いプロトコルであり、だれでも、いつでも活用できるようにするべきです。これまでカーリルでは日図書館協会に対して再三にわたりオープンデータ化を要請してまいりましたが未だ実現しておりません。現在、図書館関係者有志によりND

  • 私設雑誌アーカイブ『大宅文庫』の危機【後編】

    京王線・八幡山駅で下車し、左手に都立松沢病院の蒼とした木立を眺めながら大宅文庫(公益財団法人・大宅壮一文庫)へと向かう。この道を、いつも一人で、しかも、複雑な心理状態で歩いていた記憶がよみがえる――。 サラリーマン編集者をしていた20〜30代の頃だ。ある時は、予定していた取材先だけではページが埋まらず、締め切りが迫る中、急遽、ネタを探し直さねばならず焦っていた。またある時は、企画会議の直前だというのに手持ちのネタがなく、急ごしらえであろうが企画をひねり出さなくてはという不安に押しつぶされそうになっていた。そして資料を漁り終えると、一目散で編集部に戻らなければならない。街を眺める余裕すらなかった。何度も通った八幡山なのに、自分はこの街のことをほんとんど知らないことに気がついた。 大宅文庫に「行く人」と「行かない人」 実を言うと、今回、正式な取材の申し込みをする前、誌「マガジン航」の編集・

  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

  • 2018年の青空文庫へ向けたアイデアソン

    みなさまは青空文庫をご存知でしょうか? 青空文庫は、著作権の消滅した作品と、著作権者(著者ら)が「自由に読んでもらってかまわない」とした作品を、テキストファイルやHTMLファイルで提供しているサイトで、またそうしたテキスト化と配布を行っているプロジェクトです。青空文庫のサイトを訪れたことのない人でも、KindleストアやKoboストアの「無料」として再配布されているものを見たり、もしかしたら読んだことがあるかもしれません。 青空文庫は1997年の「青空文庫の提案」からスタートし、多くのボランティアによって支えられてきています。2013年に呼びかけ人の一人であった富田倫生氏が逝去されましたが、活動は途絶えることなく、また富田氏の著書『の未来』の書名を冠し、青空文庫の活動を将来にわたって支援するための基金「の未来基金」が創設されました。 何よりも大切な多くのボランティア活動者と、それを支

  • 本から本へ直接つながる「読書空間」への一歩

    5月20日から22日まで東京ビッグサイトで行われていた「第6回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)」の初日に取材へ行ってきました。全体をざっと見て回ったのですが、今年はあちこちのブースで「アクティブ・ラーニング」という言葉を見かけました。これは、下村文部科学大臣が昨年11月に行った中央教育審議会へ学習指導要領の全面改訂を求める諮問の中で、何度も出てくる言葉だからでしょう。 諮問によると、アクティブ・ラーニングとは「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」のことです。それをIT技術によって実現するという意味で、EDIXの出展企業がアピールポイントに使うのは当然のことだと思います。ただ正直なところ、どこかで見たような既存の仕組みを、アクティブ・ラーニングという言葉で飾っている感が否めませんでした。じっくり見たらもう少し印象は違うのかもしれませんが。 次世代ハイブリッド図書館

    klarer-himmel13
    klarer-himmel13 2015/05/29
    東大さんの事例
  • 新年に考える〜『21世紀の資本』を読んで

    あけましておめでとうございます。今年も「マガジン航」をよろしくお願いいたします。さっそく新年最初のエディターズ・ノートをお送りします。 今年に入って私がはじめて買ったは、トマ・ピケティの『21世紀の資』(みすず書房)でした。すでにアメリカではベストセラーになっており、昨年12月に日版が刊行されると国内でも大きな話題となりました。定価が5940円(体5500円)もする高額なであるにもかかわらず、アマゾンでも日時点でランキング総合一位となるなど好調で、さっそく重版がかかったようです。 海外でベストセラーになったからといって、日でも同じように売れるとは限らないのが出版ビジネスの難しいところですが、『21世紀の資』の翻訳版は日でも同様に成功しそうです。事前にさまざまな雑誌が特集を組んだり、解説記事が書かれたこともありますが、そうしたことがなされた理由の一つとして、ウェブサイトでの

    klarer-himmel13
    klarer-himmel13 2015/01/06
    読んでみよう
  • インフォメーション(The Information)

    今年は新著『テクニウム〜テクノロジーはどこへ向かうのか?』(原題 “What Technology Wants “)が邦訳され、来日も果たしたケヴィン・ケリー。彼が2011年に行ったジェイムズ・グリック(『インフォメーション〜情報技術の人類史』)へのインタビューの抄録が、堺屋七左衛門さんのブログ「七左衛門のメモ帳」で、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-継承 4.0 国際ライセンスのもとで翻訳・公開されました。電子書籍やネット時代の出版にかんする議論が展開されており、きわめて興味深い内容ですので、同様の条件で「マガジン航」にも転載いたします(編集部)。 * * * 今月のワイアード誌で、私はジェイムズ・グリックと対談して、グリックの新刊について話を聞いた(訳注:原文発表は2011年3月)。まず、その記事の抜粋を示す。その後に、未公開対談の一部を掲載する。 情報はあらゆる所を流れている。

  • 図書館向け電子書籍貸出サービス普及への課題

    11月5日から7日まで、パシフィコ横浜で「第16回図書館総合展」の展示会が開催されました(図書館総合展週間は2日〜8日)。私は6日に行って、一般社団法人電子出版制作・流通協議会(電流協)主催のフォーラム「公共図書館における電子書籍貸出サービスについて」と、展示会場内の取材をしました。以下はそのレポートです。 ポット出版「プラス電書」の試み 電流協のフォーラムでは、11月10日に発売される『電子図書館電子書籍貸出サービス 調査報告2014』(植村八潮 編著、野口武悟 編著、電子出版制作・流通協議会 著/ポット出版)が全員に配布されました。 実はこの、紙版を購入すると電子版が無料で付いてくる「プラス電書」という新サービスに対応しており、帯(内側)に印刷されたクーポンコードを対応電子書店で入力するとダウンロードできます。 同様のサービスには、文教堂の「空飛ぶ棚」(専用アプリ)、三省堂の「デ

  • いまなぜ本屋をはじめたいのか

    はじめまして。『BOOKSHOP LOVER』という活動をしております和氣正幸と申します。 この度、『屋入門 ~あしたから屋さん~』というゼミをはじめることになりました。動機は簡単で、 「好きなことがやれる屋をつくりたい。しかも普通の屋じゃなくて面白い屋。でも、ひとりで考えても分からない。じゃあみんなで考えよう」 というものです。いきなりそう言われても何のことやらさっぱりかと思いますのでもう少し詳しく説明しますね。 『屋入門』をはじめます まず、『屋入門』は屋を学び屋をはじめるための、2014年11月末にスタートして2015年2月に終わる予定の全6回のゼミです。 『屋入門 ~あしたから屋さん~』 http://bookshopseminar.tumblr.com/ 講師陣にはの世界の住人たちを招いて現状について語って頂き、その上で自分たちの思う「面白い屋」をやると

    klarer-himmel13
    klarer-himmel13 2014/11/26
    "本屋はメディアである"
  • 国立国会図書館の電子情報部に話を聞いてみた

    4月21日に、国立国会図書館のデジタル化資料を活用した「NDL所蔵古書POD」が、インプレスR&Dから発表されました。実はこのニュースを受けて、変電社の持田泰さんとFacebook上で議論になりました。持田さんが、このインプレスR&DのNDL所蔵古書PODのように「変電社文庫」を作ってみたいが、国立国会図書館とどうやって話を付ければいいのだろう? という投稿をしており、そこへ私が「パブリック・ドメインなら許諾不要では?」とコメントしたのが議論の発端でした。 実は当時、国立国会図書館のデジタル化資料を利用するには、パブリック・ドメインの作品でも転載依頼フォームからの申し込みが必要でした。私は「それってパブリック・ドメインの意味がない」という意見、持田さんは「でもそういうルールになっているのだから、煩雑であろうとちゃんと申し込みは必要だ」「外部からの妙な抗議で、せっかく公開したデータがまた非公

  • Editor’s Note

    数学ガール」シリーズなどで知られる結城浩さんの短期集中連載、「私と有料メルマガ」が始まりました。結城さんいわく、「短期集中連載ということで、以下の三回に分けます。主に時系列に沿って書いていくことになります」とのこと。具体的には、 第一回 皮算用編では、私が「結城メルマガ」を始めようとした経緯と、始めたばかりの頃に起きたことについて書きます。 第二回 転換編では、初期の体験から自分が考えたこと、そしてそれを踏まえて行った「結城メルマガ」の方針変更を書きます。 第三回 継続編では、現在の私が考えていることを中心に、メルマガ執筆を継続させることの意味、継続させるために工夫していることなどを書きます。 という、全三回の連載となります。有料メルマガを自分でもやってみようという方、あるいはすでに始めているが、いろいろ悩んでいるという方、あるいは読者としてメルマガを講読している方、そして「メルマガなん

    Editor’s Note
  • NDLのデジタル化資料送信サービス体験レポ

    2014年1月21日、国立国会図書館NDL)の「図書館向けデジタル化資料送信サービス」が開始。あわせてサイト「国立国会図書館デジタル化資料」が「国立国会図書館デジタルコレクション」へ名称変更リニューアルしました。 絶版など、国会図書館から各地の図書館へ配信、18都道府県23館で始まる−INTERNETwatch 現時点で、絶版などの入手困難な約131万点が対象。内訳は、1968年までに受け入れた図書が50万点、江戸期・清代以前の和漢書など古典籍・貴重書が2万点、2000年までに発行された雑誌が67万点、1991~2000年に受け入れた博士論文が12万点 サービス開始時点で約131万点なんてまあ素敵な分量!これは街の図書館が平均的大学図書館蔵書数レベルのデジタル書庫を一挙に得られるチャンスなわけです。またこのサービス開始に併せて「国立国会図書館デジタル化資料」名称改め「国立国会図書館

  • リアル書店で電子書籍を売るということ

    三省堂書店とBookLive!は12月19日、の表紙をカメラで読み込むと電子書籍の検索や、書店員のPOP・コメントなどが表示できるアプリ「ヨミ Cam(よみかむ)」を発表しました。既に複数のメディアで記事になっており、SNSでの反響を見る限り比較的好意的に受け止められているようです。 それに対し、朝日新聞が12月22日に掲載した「対アマゾン、電子書籍で連携 書店や楽天など13社、めざせ『ジャパゾン』」という記事は、インパクトのあるキーワードもあってか、ネット上では批判的に捉えている方が多いように感じられます。今回は、この二つの似て非なる事象を通じ、「実店舗での電子書籍購入」の今後の可能性について考察します。 電子書籍の店頭購入サービスはすでに展開中 三省堂書店とBookLive!は以前から、店頭で電子書籍が購入可能な「デジ(でじぽん)」というサービスを展開しています。以前は三省堂神保町

  • Library of the Year 2013が投げかけるヒント

    2013年10月29日、伊那市立伊那図書館がLibrary of the Year 2013に選出された。 「伊那谷の屋根のない博物館の屋根のある広場」というテーマを立て、歴史や自然はもちろん、社会教育の蓄積豊かな伊那地区との街として名高い高遠地区に存在する地域知の創造と発信に、住民とともに取り組む活動が評価された。 審査員としてその選出にくわわった当事者として、Library of the Yearの意味と今年の評価をふり返ることにしよう。 図書館だけでなく、「図書館的」な活動が対象 Library of the Yearは、図書館的な活動をしている機関や団体、活動のなかから、今後の公共図書館のあり方を示唆する先進的な取り組みを表彰するものだ。NPO知的資源イニシアティブ(IRI)によって「良い図書館を良いと言う」をキャッチフレーズに2006年からはじめられ、毎年10月にパシフィコ横浜

  • 図書館の知を共有するために

    図書館とはなんだろうか。 もともと図書館員である私の中には、つねにこの問いがある。読書をするための場所か。読書をするためのを提供するところか。との出会いを演出する場所か。それらは間違いではない。しかし、来、図書館が提供すべきサービスはそれだけではない。 を「読む」だけではなく、「使う」のを支援すること。から利用者が必要な情報を得られるようにすること。利用者にとって、に限らず、必要な情報にアクセスするための「道しるべ」となること。さらに、そうした目的のために情報を蓄積し、整理し、使いやすく準備し、提供すること。そのすべてが図書館の役割である。これらを実現し、よりよくサービスを行うために、日々、図書館は努力しているのである。 新しいサービスを打ち出すこともそうだし、これまでのサービスをちょっとした工夫で改善することもそうである。ダイナミックに変わることもあれば、少しずつ地道に改善さ

    図書館の知を共有するために
  • 在野研究の仕方――「しか(た)ない」?

    在野研究者を名乗り始めてから二年が過ぎた。「在野」というのは大学機関に属していないというくらいの意味合いであるが、大学院博士前期課程(修士課程)を修了以後、私は近代文学を専門とする自分の研究成果はweb上、つまり電子書籍販売サイト「パブー」(図版上)やインディペンデント批評サイト「En-Soph」(図版下)で全て公開してきた。 このことを人に説明すると決まっていつも「どうして大学に所属しないんですか?」と尋ねられる。実のところ、私はずっとその問いに答えあぐねていた。自分自身にとってその一連の行為が不自然とは感じられなかったから、そして、どうして自分が不自然と感じられないのかについて言語化することができなかったからだ。しかし、今回、二年間の研究成果を一冊のとしてまとめるなかで、自らを振り返り、それに付随して次第に在野で生きようと思った過去の自分を昔よりもずっと客観視できるように思えてきた。

  • 第5回 自炊をめぐる逡巡

    今年の2月、約2000冊の蔵書を木造アパートの一室(4畳半)に移したところ、棚で床が埋まってしまった。万が一、床が抜けてしまったら、一階に住む大家が大けがをするかもしれない。そうなれば当然引っ越さねばならない。賠償をどうするのかという問題も出てくる。目隠しされて剣が峰に立たされてしまったような、いきなりの危機的状況に僕はうろたえた。引っ越しを終えた日の夜は床が抜けないか気が気でなく、あまり眠れなかった。結局、二つの突っ張り棚と約200冊を子と住んでいる自宅に移動させ、さらには438冊を緊急避難させた。 4月になり、このシリーズを書き始めたとき、前者の後始末の顛末については隠さずに書いた。しかし、後者の後始末の顛末については、次の通り、核心に触れないようにぼかして書くにとどめた。 438冊も4畳半からは緊急避難させていた。段ボール9箱、一箱あたり約15キロで、のべ約135キロ。

  • 「ブクログ」は本との新しい出会いの場をめざす

    2012年6月1日、GMOグループのpaperboy&co.(以下、ペパボと略)から、ユーザー数55万人以上(2012年8月30日現在)を擁するweb棚サービス「ブクログ」と電子書籍作成・販売プラットフォーム「パブー」が独立事業となり、株式会社ブクログが設立された。 Webサービスを出自とするブクログは、出版社や電子書店、取次とも異なる展開を見せてきたが、分社化によってその動きを加速させようとしている。ブクログが運営する「パブー」はタイトルラインナップに苦慮する楽天koboへ、ユーザー投稿作品の提供も開始した。ヴァーチャル棚サービスとユーザー投稿に加え、BookLiveのような外部サービスとの連携も積極化。電子出版において注目すべき存在になっている。 株式会社ブクログの代表取締役社長に就任した吉田健吾氏に、今後の戦略や展望を聞いた。 「ブクログ」独立事業化の理由 ――まず、今回の分社化

  • 大手出版5社はEブック談合してたのか?

    先々週、米司法省(DoJ)がアメリカの大手出版社5社とアップルに対し、電子書籍の値段について談合し、Eブックの値段を吊り上げたことが独禁法に違反するとして提訴し、うち3社が和解に応じた、というニュース。翻訳記事も含めてあちこちで伝えられている。 Wired | TechCrunch | Computer World | AFP BB ニュース | MSN産経ニュース | マーケットハックの広瀬さん | eBook User この訴訟について言っておきたいのは次の3点。 1)エージェンシー・モデルそのものが違法とされたのではない。 2)和解に応じるのは非を認めたことにはならない。 3)この訴訟で唯一得をしている企業はどこなのかを考えると、この訴訟の真の意味が見えてくる。 日だとどうしても知名度の高いアップル社が被告に名を連ねているし、それでなくともアップルは、他のIT企業とよく新技術の特許

    大手出版5社はEブック談合してたのか?
  • 第1回 本で床は抜けるのか

    木造二階建てアパートの二階にある4畳半の部屋に仕事場を移したところ、畳がすべて荷物で埋まってしまった。部屋の壁際三辺は立て掛けた棚や分解した机で覆われ、部屋の大部分を占めるそれ以外のスペースは高さ約30センチのの束で埋め尽くされた。 部屋の真ん中にいる僕の足元は見えない。の束と束の間にかろうじて足を突っ込んでいるからだ。足に泥は付着しないが、ぬかるみに膝下をずぶずぶ突っ込んでいるようなものだ。部屋の中を移動するにはの束から足を引き抜いて、の束を踏み台にするか、つま先がやっと入るかどうかのすき間に無理矢理足を突っ込むしかない。 不安のはじまり 床がで埋まっているというのに不思議と焦ってはおらず、床が抜けるというケースはまったく想像していなかった。むしろ運び終えたことに安堵していて、時間をかければ何とか片付くだろ、と呑気に考えていた。 運搬を手伝ってくれた便利屋スタッフが帰りの車中