様々な形で太平洋を渡った名もなき日本人たち 1639年に徳川家光が鎖国体制を完成させるまでの16世紀から17世紀前半までは、史上類を見ないほど日本人の海外進出が盛んな時期でした。 ベトナムのホイアンやフィリピンのマニラなど東南アジア各地に日本人町を作って商業活動を行う者もいれば、アユタヤの山田長政のように政治・軍事にまで介入する者、また末端では傭兵や奴隷としてポルトガル人やスペイン人の下で働く事例も数多くありました。 中には太平洋を超えて新大陸に渡ったり、大西洋を超えてヨーロッパに渡った事例もあります。 1. メキシコに連れて行かれた日本人奴隷 太平洋の奴隷交易 1565年、フィリピンのマニラからメキシコのアカプルコを結ぶガレオン船の航路が開通し、メキシコからは大量の銀、マニラからは中国製の陶磁器や絹製品などが流通するようになりました。 モノと情報の流通が活発になると、それに吸い寄せられる