目の前に危険が迫っている。自分はもうだめだけど仲間は助けたい。そう感じるのは、人間、動物、植物のみならず細菌も同様のようだ。 細菌の中には、死際に断末魔の叫びをあげ、群れの仲間に危険を知らせる種がいるのだそうだ。それは進化をうながし、薬剤耐性を獲得させることすらあるという。 細菌の断末魔の叫び――ネクロシグナル 叫びといっても、私たちの耳に聞こえるわけではない。それは化学物質を使った警報で、「ネクロシグナル」とも呼ばれる。 多くの細菌は、「鞭毛」という尻尾のようなものを使って泳ぐことができる。だが大腸菌のような細菌ともなると、数十億もの大群を作り、鞭毛を使って硬い表面を移動することすらできる。その姿はもはや1つの個体のようだ。 だからこそ、細菌の群れは、個々の細菌とはまた違うメカニズムで抗生剤への耐性を進化させるのではないか? とテキサス大学の研究グループは考えた。 この画像を大きなサイズ