新型コロナウイルスの感染爆発が起きている東京都で、救急搬送が立ちゆかない状況に陥っている。集中治療室(ICU)での治療が必要なコロナの重症患者が増え、病床や人員に余裕がなくなっているからだ。「断り続けることはこれまでなかった」。救急隊の要請に応えられない日々に、病院のスタッフは苦悩している。 「遅れていたら確実に死亡していた」 「無理です」。14日昼、東京大病院(文京区)の救急外来。電話口の向こうで「なんとかなりませんか」と粘る救急隊に、土井研人(けんと)教授は答えた。ホワイトボードに並んだ「正」の字にマーカーで線が1本書き足された。東大病院が搬送の受け入れを断った件数で、この日は昼までに29件に達していた。 救急隊は足立区の路上で倒れた心肺停止の70代患者の搬送先を探していた。しかし、東大病院も直前にICUに新型コロナの重症患者を受け入れたばかりで、余裕はなかった。この重症患者は、自宅療