新型コロナウイルスの集団感染が初めて確認された海鮮市場の跡。周囲を囲む壁には、郊外の「新市場」への移転が告知されていた=中国湖北省で 中国湖北省武漢市を久しぶりに訪ねた。新型コロナウイルス流行の「震源地」となった街であり、2020年1月23日の都市封鎖(ロックダウン)から4年となる。厳しい行動制限で感染を抑えるゼロコロナ政策は過去となり、市民は日常を取り戻していた。 ただ、新型コロナで家族を失った遺族のその後を追うと、感染対策を巡る共産党の「勝利」に異を唱えることの困難さを思い知らされた。 「人災」批判の男性を拘束 3年前の冬、武漢のカフェで、父親を亡くした女性に話を聞いた。「ここで現実に起きたことは悲惨でした。政府が言う『偉大な成果』などではありません」。そう語っていた彼女に再び会いたいと思い、外国製のメッセージアプリで連絡を取った。 しばらくして返信が届いた。「警察はこのやりとりも見破