牛車には最大四人が乗れる。身分の上下によってその席順が決まっている。前方右が第一の上臈(じょうろう)、その左が次席、さらに三番目が後方の左、最後が後方の右側の席ということになる。男女が乗るときは、男性が右側に、女性が左側に乗る。また、一人で乗るときは、左側に座って右側を空けた。 牛が登場する初期の文献に『播磨風土記』がある。また『古事記』の仲哀天皇御崩御に関する項目に「馬、牛、鶏、犬」、『日本書紀』にも「牛、馬や黄牛」と、牛の文字が登場する。 家畜としての牛は朝鮮半島から渡来人とともにやってきたようである。天武天皇の「禁の詔」が「涅槃経」に倣(なら)って発せられているが、その頃には、牛乳としても食肉としても既に利用していたと考えられる。農耕に牛が用いられた例としては「田令」に「二町毎に牛一頭を配する」とある。 牛の皮は『延喜式』では祭祀に使われており、正倉院には美しく彩色された牛皮華鬘(ご