井上理 日経ビジネス記者 1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ この著者の記事を見る
App StoreやGoogle Playにおけるリワード広告によるランキング操作。いわゆる「ブースト」と呼ばれる手法には、数多くのプレイヤーが関わることになる。広告出稿主であるアプリ開発者、アドネットワークや広告代理店、お小遣いアプリ運営会社。お小遣いアプリを使うユーザーと、最終的にランキングを見てアプリをダウンロードするユーザー。こうした多くのプレイヤーやユーザーを巻き込んで、ランキング操作は“実現”する(参考記事:スマホアプリ、操作されるランキング)。 舞台となるのは、アップルやグーグルといったプラットフォーマーが用意したマーケットだ。元NTTドコモの夏野剛氏は、リワード広告によるランキング操作について、プラットフォーマーの責任も大きいと話す(参考記事:「問われるのはアップルの哲学」元ドコモ夏野氏に聞くランキング操作問題 )。 一方、自らの手を動かしてアプリを作るエンジニアはそうした
働く時間を激減させながら、増収増益を続ける。掲げるのは、従業員の健康を企業価値創出の基盤と位置づける「健康経営」。斜に構えた人からは「キレイ事」「夢物語」などと言われそうな話だが、実際にそれが十分できることを証明している企業がある。しかも、構造的な長時間残業やメンタルヘルスの問題が指摘されるIT(情報技術)産業にだ。 残業時間を激減させると同時に増収増益を続けている、SCSK。数年前までは他のIT企業同様に労働環境の問題に悩んでいた同社に、何が起きたのか。仕掛け人の中井戸信英会長・健康経営推進最高責任者が、その要諦を語った。 日経ビジネスは6月15日号の特集で活力ある働き方を実現する「戦略投資」として、健康経営を推進することが、エクセレントカンパニーの新条件であることを示した。普通の企業よりも「厳しい条件」から出発したSCSKの取り組みは、多くの「働く人」や企業経営者にとって参考になるはず
「100万ダウンロード突破!」「App Store無料ランキング3位!」――。スマートフォン向けアプリの「人気度合い」を強調するために、このような文言を各社が使うのはもはや見慣れた光景になっている。 こうしたダウンロード数やランキングは、実は「カネで買われている」ケースがあることが徐々に明らかになってきている。 17時に始まる“一斉ダウンロード” 「超絶、高還元ポイントで即交換OK。アマゾン券、大量入荷。6月14日(日)17時~新着スタートです!」 毎日17時になると「お小遣い稼ぎはヒゲ猫ゴマっち!」や「くまぷれ」、「アプリで稼ごう」といった「お小遣いアプリ」と呼ばれるアプリに一斉に「新着情報」が現れる。そこに並ぶのは、ゲームアプリに加えて、誰もがその名を知る「Yahoo!JAPAN」(ヤフー)、「Amazon」(アマゾンジャパン)、「Gunosy」(グノシー)、「AWA」(AWA*1)な
前回は、「ITビジネスの軸が、コストセンター中心からプロフィットセンター中心に移った」ことを紹介した。今、ITビジネスの潮流は大きな変化の節目を迎えている。そのことがITエンジニアの採用、教育の現場に、主に3つの課題として表れてきている。 課題1:エンジニアが集まらない、既存の求人メディアではエンジニアにリーチできない 課題2:いい人を見分けられない、既存のプロセスでは技術の可視化が難しい 課題3:人が育たない、既存の教育システムでは育成が難しい 今回はこの3点について考察を進めていきたい。 ITエンジニアは人材紹介サービス経由で転職しない 企業の採用における課題1: エンジニアが集まらない、既存の求人メディアではエンジニアにリーチできない 弊社は人材サービスを運営しているため、人事の方から「既存の求人メディアや人材紹介などでは、なかなか優秀なエンジニアにアプローチが出来ない。優秀層にリー
「見られるからこそ社員は輝く」。新生ヤフーの組織改革の実務を担う人事本部長の本間浩輔氏。今回は本間式組織論の後編をお送りする。前編はこちら。(聞き手は蛯谷 敏) ◆ ◆ ◆ 「あらゆる角度から見ているぞ」と社員に意識してもらうことがヤフー改革1年目の主眼だった、というお話しでした。 本間:そうですね。もちろん、ただ見るだけでは会社の業績にはつながりませんから、実際に行動に結びつけてもらわなくてはなりません。その時注意しておかなくてはならないのは、彼らの行動が、会社の目指す戦略と一致している必要があるということです。 どういうことですか。 経営と社員のベクトル合わせは不可欠 本間:例えば、あなたが今の仕事にとてもやりがいを感じているとしましょう。「もう終電なんだけど、もっと仕事をしちゃおう」とか「昼飯の時間なんだけど、飯を抜いてでもやっちゃおう」と思ってしまうくらい。もう、本当に心か
スマホやめたら5000円 岩田製作所 「私用でスマートフォンを使わない社員には月5000円を支給する」 そんな制度を掲げる機械部品メーカーがある。岐阜県関市の岩田製作所だ。 旧来の携帯電話、いわゆるガラケーを使うのはいいが、それも音声通話とメールに限定。ゲームなどは禁止だ。昨年7月の制度発足以降、90人いる社員のうち23人が支給を申請。携帯会社との契約違約金の問題で今すぐには“脱スマホ”ができず、時期を待っている社員もいるが、今年4月にはさらに申請者は増え30人を超える見通しだ。 30人に奨励金を出すなら月間15万円、年間で180万円。90人の社員全員が応じれば500万円を超える。売上高約13億5000万円(2013年9月期)の同社にとっては決して少なくない金額だ。 そこまでして、しかも私用のスマホの契約を打ち切らせることを奨励するのは、「これ以上、職場にスマホが蔓延すると会社がおかしくな
「スマホファースト」「スマデバファースト」を掲げた新体制において、ヤフーのエンジニア集団の再活性化を託されたのがCMO(チーフ・モバイル・オフィサー)の村上臣氏である。ヤフーエンジニア約2000人の活性化策を聞くインタビューの後編をお送りする。前編はこちら。(聞き手は蛯谷 敏) ◆ ◆ ◆ エンジニアのキャリアパスを用意したことが、意識改革に大きく寄与したということでした。 村上:エンジニアのキャリアパスでもう1つ加えると、「いずれ起業してみたい」という社員にも道筋を作ってしまったのが、面白いところかも知れませんね。「スター育成プログラム」と呼ぶ制度で、起業のアイデアを社外のインキュベーション・プログラムに持ち込めるようにしました。MOVIDA JAPANの孫泰蔵さんと組んで、本物の起業家たちとガチンコで起業家育成プログラムを受けられるというのが特徴です。 若い世代は起業願望も結構
「エンジニアの情熱と才能を解放する」。新生ヤフーの再成長には、サービスやアプリ開発を担うエンジニアの意識変革が不可欠である。「スマデバファースト」を掲げ、スマートフォンやタブレットへのシフトを明確にした新体制の中で、ヤフーのエンジニア集団約2000人の再活性化を託されたのがCMO(チーフ・モバイル・オフィサー)の村上臣氏である。 村上氏は学生時代に立ち上げたベンチャー企業をヤフーが買収したことに伴い、2000年ヤフーに入社。ヤフーのモバイル事業立ち上げに貢献した後、ソフトバンクが買収したボーダフォンに出向。モバイル・インターネットの技術開発などを指揮した。経験と能力は、ヤフー社内でも評価が高く、ソフトバンクの孫正義社長からの信頼も厚い。就任時35歳という若さで要職に就いたことが、何よりもこの事実を物語る。 CMO就任直後からエンジニア向けの施策を次々と発案、実行に移してきた。1年半がたち、
「新体制の一番のサプライズ人事なんだ」。ヤフーの宮坂学社長がこう周囲に漏らすほどの期待を背負って就任したのが、人事本部長の本間浩輔氏である。1968年生まれの45歳。宮坂社長とは同年代に当たる。大学卒業後に野村総合研究所に入社、コンサルタントとして働いた後、ヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画した。同社が2002年にヤフー傘下入りした後は、主にヤフースポーツのプロデューサーとして活躍していた。 経歴から見ても、特段人事に関わるような経験は見当たらない。しかし、社内では組織論、リーダーシップ論をテーマとした独自の勉強会を主宰。有志の参加者を募り、一貫して「人はなぜ働くか」という本質を追求し続けてきた。宮坂社長自身も、この勉強会の良き理解者であったことから、本間氏の抜擢人事が実現したという経緯がある。 ヤフー新体制のカギを握る、組織活性化の施策について、本
「Androidとは何が違うんでしょうか。お客様が見たときに何が違うのが、僕にはさっぱり分からない…」 こう語るのは、某日本メーカー関係者。「『Firefox OS』や『Tizen』についてどう思うか」と質問したときの本音だ。 注目の的、iOS、Androidに続く「第3極のOS」 今年2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressで話題となったのは、iOS、Androidに続く「第3極のOS」ともいわれる新たなプラットフォーム。それが、「Firefox OS」と「Tizen」である。 ブラウザーで人気のFirefoxが、スマートフォン向けプラットフォームとして開発したのが「Firefox OS」。日本ではKDDIが採用を明らかにし、商品化の検討に入った。 一方、「Tizen」と呼ばれるプラットフォームは、韓国・サムスン電子が開発をリードし、NTTドコモが
ライフネット生命保険が営業を開始して約1年が過ぎた2009年夏のことです。20代の社員に突然こう言われました。「出口さん、この日、1時間ほど時間を空けておいてください」。いったい何の用だろう。と思いつつ、私は、「いいですよ」と答えました。 前日、私は彼に聞きました。 「明日、時間は取ってあるけど、何をするんだっけ」 その若い社員はこう言いました。 「インターネットでのPR企画のため、二子玉川へ行って、多摩川の河川敷に降りてください」 「でえ、何をするんだい?」 「まずですね。今回の企画を考えてくれたウェブマガジン、デイリーポータルZのウェブマスター林雄司さんが、死亡保険に加入しよう、と河川敷に待ち受けています」 デイリーポータルZ? 何だ、それ? ヒーローロボット? 「それで、ですね。この林さんが、3枚の紙皿にそれぞれ、1,000万円、2,000万円、3,000万円と、死亡時の受取金額を書
新しいシゴトの作り方――。閉塞の時代に何よりも必要な力の引き出し方を、シリコンバレーの第一線の起業家、フィル・リービン エバーノートCEO(最高経営責任者)が解説します。閉塞の時代には、新たな地平を切り開く、イノベーターが必要です。人々を感動させる製品。業界の常識を打ち破るサービス。明日の展望が描き難い時代、新しい仕事を作る人間が求められているのは、世界共通の課題でしょう。その課題に対して、リービンCEOは、数々の起業経験を基にヒントを示してくれます。 シゴトの作り方とは、単なる製品やサービス作りにとどまりません。組織に属する人であれば、新しい企画作りがそうですし、新規事業に携わる人であれば、その事業モデル作りに相当するでしょう。起業を志す人であれば、会社の立ち上げがまさに、事業の創造にほかなりません。そんな、様々な「シゴトの作り方」の疑問に、シリコンバレー注目の経営者が答えます。 ◆
日本のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)業界を牽引してきたミクシィが身売りを検討していることが明らかになった。社長の笠原健治氏が保有する約55%の株式について、売却に向けた交渉への参加を複数の企業に打診し始めた。近く行われる入札にはグリーやDeNA(ディー・エヌ・エー)といった競合他社などが参加する見通しだ。 ある金融筋は「今春、ミクシィから競合他社に株式売却の話が持ち込まれた」と証言する。笠原社長の意を受けた証券会社が株式の売却を持ちかけたといい、「第一段階では笠原社長の保有株式の一部を譲渡して資本提携し、その後、将来的に全株式を放出する案が示された」と続ける。 ミクシィが身売りを検討するのは、今回が初めてではない。過去に一度、ヤフーとの間で資本提携が実現まであと一歩のところまで進んだことがある。両社の交渉は2011年2月末にプレスリリースを配信する直前まで進んだが、最終局
「ノマド・ワーキング」という言葉をはじめて聞いたのは、2年ほど前のことだったと思うのだが、それがここへ来て急速に定着しているようで、最近は、あらゆる場所でこの言葉を目にするようになった。 意味は、英語の「遊牧民」からの連想で、「オフィスに縛られない働き方」を指している。で、そういう働き方をする人たちを「ノマド・ワーカー」と呼ぶ。 オフィス以外の場所で働くこと自体は、今に始まったことではない。 ずっと昔から、われわれは仕事を持ち帰ったり持ち出したりしながら、自宅で、喫茶店で、新幹線の中で、様々な作業に従事してきた。 「どうして日本のヒトは電車の中ではたらくのか?」 と、フィリピンからやってきた女性に尋ねられたことがある。 「何かの罰なのか?」 私はうまく答えることができなかった。 もしかしたら、本当に罰なのかもしれない。 パチンコ店の客を工場労働者と勘違いした外国人観光客がいるという話も聞い
4月1日、日本を代表するインターネット企業、ヤフーのトップが交代する。 創業から約16年。国内ネット黎明期に産声をあげた小さな会社は、2011年3月期に連結売上高2924億円、連結経常利益1602億円を叩き出す高収益企業に成長した。 圧倒的な伝播力を持つポータルサイト「Yahoo! Japan」を中核に、オークション、ショッピング、動画配信など無数の事業を展開。グループ社員は5000人を超える。その発言力は、国内ネット業界に影響を与え、業界盟主としての風格を備えるようになった。 だが、強さは弱さの裏返しでもある。 安定した収益基盤の一方で、新たなヒットサービスが生まれない。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を始めとした新技術の対応に遅れ、後手に回る展開が目立つようになった。「スピード感の欠如」「リスク回避指向」「縦割り組織の弊害」...。そんな声が、社内からも漏れ聞こえてくる
グーグルは広告会社に姿を変えてしまった── 退職した米ゴールドマンサックスの元幹部が同社の顧客軽視の体質を暴露する投稿を、ニューヨークタイムズ紙が3月14日付で掲載した。ウォール街で波紋を広げたのとほぼ時を同じくして、グーグルでも元幹部が古巣を批判するブログ記事が話題になった。 今年2月に同社を去った技術系幹部のジェームズ・ウィテカー氏がIT技術者向けのブログで、グーグルはイノベーターとしての文化を失い、広告会社に姿を変えてしまったとこき下ろしたのだ。 グーグルプラスがやり玉に ブログのタイトルは「Why I left Google(なぜ私はGoogleを去ったのか)」。ブログ記事が載ったのは、マイクロソフトの製品、技術を利用する開発者向けに情報を提供するMSDNというウェブサイトだ。2009年5月から約3年間、グーグルに在籍したウィテカー氏は現在、マイクロソフトで働いている。 3月13日
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