この商品の企画を発表した会議では、「こんな商品、誰が買うんだ?」と15人の役員中14人が反対したそうだが、ある役員一人だけが「待ちに待っていた製品だ」と絶賛したことから、発売が決まった。 しかし実際にポメラが発売されると、すぐにライターやブロガーなど、テキスト入力を毎日の仕事とする人々の間で大きな話題となる。結果的に、年間で10万台以上が売れる異例のヒット商品となった。 多くの人が欲しがる製品ではなく、ごく一部の人にしか必要とされないが、熱烈に欲しがってもらえる商品を作り出したことがポメラのヒットの要因であるといえるだろう。 一部の人の「まさに欲しかった商品だ」という思いをすくい上げ、それを商品という形に結実させたマーケターの感性が光る仕事だ。(p.135) ※赤字は大橋。 前回は「お金を出す人に分かる差異」について書きましたが、今回のポメラの事例は「お金を出す人」にフォーカスしています