日経ものづくり誌の書籍シリーズとしてこのほど,トヨタ自動車で生産技術者,システムエンジニアを経験した後,現在はCAD/CAMベンダーの社長を務める新木廣海氏の書き下ろしによる書籍『日本コトづくり経営~トヨタで培った新シナリオ』を発行した。この本を読むと,ものづくり力で定評のあるトヨタが強いもう一つの理由がIT(=コト)にあったことが良く分かる。そこで,製造業の競争力という面で筆者なりに注目した視点を3点紹介したい。第1に,データ中心の「プロセス改革」を進めるためにトヨタ生産方式の活用が有効だったこと。第2に「ソフトウエア軽視」の風潮を改めて日本のものづくりのノウハウを盛り込んで品質を上げることが重要であること。第3に,日本と欧米のものづくりに対する考え方が違うことを認識したうえで,日本のものづくりに合ったIT活用を考えること---である。 データ中心のプロセス改革にいち早く着手 第1の視点
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