“JPEGがポジなら、RAWはネガ”。デジタルカメラ黎明期によく使われていた比喩だ。JPEG出力が、その場の状況判断で生成される一発芸なら、RAWはとりあえず“その場”を記録しておいて後から絵を作る。前者がポジフィルムを想起させ、後者はネガの懐の広さを感じさせる。 実際のデジタルカメラは、撮影状況に応じてトーンカーブ調整、ノイズや色の処理などを行なっているから、ポジフィルムでの撮影というよりも、街のDPEという方が正しいように思う。結果が不満でもネガに相当するRAWを保存しておけば、いつでも現像はやり直せる。 ほんの8年前、2000年ぐらいにはPCの処理能力の低さなどもあって、一部にはカメラ内JPEG生成以外は邪道だなんていう意見も聞かれたほど、市民権がなかったRAW現像という手法だが、今やハイエンドコンパクト機も含め、写真をより深く楽しむために不可欠なものになっている。 ■ ハードウェア