「さぁ、寄ってらっしゃい、みてらっしゃい」 威勢のよい口上が、夜の祭り会場に響きわたる。お化け屋敷というには少しケバすぎる小屋構えに戸惑いながらも、なんだか懐かしいその雰囲気に心奪われ、お客は小屋へと吸い込まれていく。 室町時代に始まり、歌舞伎や人形浄瑠璃と共に京都の四条河原を賑わせた見世物小屋。江戸時代には大衆文化のひとつとして発達し、その後、神社のお祭りや縁日などに仮設小屋を建て、各地を巡業して回るスタイルが確立された。全盛期の江戸後期には全国で300軒の小屋があったが、1950年代末には48軒、1980年代後半には7軒と減少し、1990年代には4軒、2010年以降は1軒のみとなっている。 そんな最後の見世物小屋一座「大寅興行社」の人々との10年間にわたる交流と旅を記録したドキュメンタリー映画が、12月8日より新宿K’s cinemaで公開される。 本作の監督・奥谷洋一郎氏が大寅興行社