(承前) 縄張り図を描くためには、城域をすみずみまで歩き回らなくてはならない。そして、城域をくまなく歩くという行為は、必ず藪こぎをともなう。きれいに公園化されている城でも、実際は整備されているのは主要部分だけであって、周囲には藪に埋もれた土塁や堀がある。ましてや、大多数の城跡は、藪をこぎ回らないと遺構を確認できない。 しかも、藪をかき分け倒木を踏み越え、竪堀があれば末端が視認できるところまで下っていって、下るということは当然、元の場所まで登り返し…といった行為を、丹念に際限なくくり返していって、はじめて一枚の図が描きあがるのだ。したがって、縄張り図を描くためのにもっとも必要なのは、藪こぎや斜面の上り下りを厭わないマインド、ということになる。 時々、歴史学や考古学の人たちから、「縄張り研究の人たちは、藪をこぐのが好きなのでしょう」と揶揄されることがあるが、誰が好きで藪こぎなんかするものか。藪
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