ライトでシリアス 侮れぬ 『ダ・ヴィンチ・コード』や『ハリー・ポッター』と並んで、目下ネット書店などのベストセラーリストをにぎわしているライトノベルがある。谷川流(ながる)の『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズだ。 既刊8冊で250万部。部数急伸はテレビアニメ化効果も大きいが、小説として結構侮れない。最新刊の『涼宮ハルヒの憤慨』まで一気読みしてしまった。 性格自己中な女子高校生が、この世の面白い不思議を求めて「SOS団」なる学内サークルを結成する。適当に集めた団員の正体はそれぞれ宇宙人、未来人、超能力者で、ハルヒ一人がそのことを知らない。団員らの使命はハルヒに愉快で平穏な日々を送らせること。なぜなら、この世界はハルヒが見ている「夢」かもしれないという恐るべき仮説があり、彼女が世界に飽きれば、何が起こるかわからないのだ。 世界の命運が学園の日常に直結するという趣向は、70年代のジュヴナイル(少年向け