書店員が選ぶ本屋大賞が小説の売れ行きを左右し、書店員の出す推薦コメントが批評家以上に影響力をもつ。そして、「書店が舞台になっている小説」にも注目が集まり始めている。 大崎梢さんのデビュー作『配達あかずきん』(東京創元社)は、女性書店員と女子大学生アルバイトのコンビが、謎解きに活躍するミステリーだ。無名の書き手だったにもかかわらず、「本の雑誌」が選ぶ上半期エンターテインメント・ベスト10の2位に選ばれた。 この時のベスト10では、有川浩さんの『図書館戦争』(メディアワークス)が1位、古書店を営む大家族を描いた小路幸也さんの『東京バンドワゴン』(集英社)が4位に選ばれ、「本もの」が3作までランクインしている。 大崎さんはこの春まで書店員だった。自分ではあたりまえになっているようなエピソードを書店好きの友人に話すたびに、へえっと驚かれることが執筆のきっかけになった。 たとえば本のカバー。「おかけ