—もともと和歌山毒物カレー事件にはどのような印象を抱いていましたか? 二村:事件当時、僕は日本映画学校の学生でした。創設者である今村昌平さんの作品をいろいろと観ていたのですが、犯罪に関する映画が多かったことから僕も犯罪心理に興味を持ちまして。それで映画の題材になるかもと、当時も割と熱心に報道を追っていたんです。 保険金詐欺の果てに夫にヒ素を飲ませるなど「林眞須美の悪意」がメディアで報じられていくうちに「こんな悪いことをする人がいるのか」と考えるようになり、これは彼女が犯人で間違いないなと確信してからは、事件について積極的に追うことはありませんでした。 二村真弘(にむら・まさひろ)。1978 年愛知県生まれ。日本映画学校(現・日本映画大学)で学び、2001 年 よりドキュメンタリージャパンに参加、2011 年からフリーランスとしてテレビ 番組の制作を手掛ける。統合失調症からの回復を引き出す日