アジア文学と短編集が豊作の年 今年、海外の翻訳文学で売れに売れたものといったら、韓国文学でしょう。2018年後半に刊行されたチョ・ナムジュの『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子/訳)が、最近の翻訳文学では「爆発的」といっていい15万部超のヒット。初版は慎ましく4千部、しかし刷りに刷りを重ね、今年、渋谷のスクランブル交差点に建つビルに、本書の電光掲示広告が流れるのを見たときには、わたしは深い深い感慨に打たれました。 もれなく熾烈な大学受験戦争をくぐり抜けてきた韓国の女性たち(韓国は大学進学率が100%に近い)にとって、就職、結婚、出産後の身の振り方における男女差は、あまりに理不尽。そういう格差を、あえて平凡な女性をヒロインにし、どこまでも静かな言葉で訴えたからこそ、『82年生まれ、キム・ジヨン』は大成功したとも言えます。 また、「韓国・フェミニズム・日本」という特集を組んだ文芸誌の「文
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