富士山を望む静岡県御殿場市。この地を拠点に外資系企業を相手に水ビジネスのコンサルタントをする勝間田仁(60)の元には度々、中国系企業から電話がかかってくる。 「水の工場を造りたい」「井戸付きの土地を探している」「ペットボトル入りの水を買いたい」 流暢な日本語を操り接触してくる中には怪しげな業者もある。詳細な企業概要を送るよう頼んだり、会って話を聞こうとするとピタリと連絡が途絶える。こうした電話は多いときは1日50件以上にのぼるという。 自然豊かな富士山周辺は国内で生産されるミネラルウオーターの約半分を賄う地下水の宝庫でもある。日本の水を狙う中国系企業の触手は、世界遺産に登録されたばかりの富士山にも伸びているのだ。 ■水道水に劣る 背景には中国の劣悪な水事情がある。それを象徴する“事件”が起きた。 今年3月、中国でペットボトル入りの水を売る有名ブランド「農夫山泉」について、北京紙