塾監局という建物をご存知だろうか。ちょっと古めかしい感じがするこの名称は、三田キャンパスにある建物を指すとともに、義塾の事務全般を支える組織も意味する。現在の建物が竣工して90年、塾監局は常に義塾とともに歩んできた。 塾監局の建物の存在は、塾生にはなじみが薄いかもしれない。学生生活を通じて、足を踏み入れる機会は多くないだろう。三田キャンパスを東門から入り、図書館の旧館と新館(メディアセンター)の間に位置する、レンガ造りのゴシック風の建物である。竣工は1926(大正15)年で、90年が経過した。設計は1912(明治45)年竣工の図書館旧館と同じく曾禰達蔵(そねたつぞう)・中條精一郎(ちゅうじょうせいいちろう)である。 塾監局は、建物の名称であるとともに、義塾の事務全般を担う組織という意味も含んだ語である。ほかではあまり聞かないその名称は、若き日の福澤諭吉が学んだ緒方洪庵の適塾にあった塾監とい