著: 皆川典久(東京スリバチ学会 会長) 西武池袋線で池袋から3駅の町・江古田。 今や、ひと昔ではなく「ふた昔」前となってしまった昭和の面影が残るノスタルジー漂う町だ。 「ザ・私鉄沿線」の駅らしく、駅前にロータリーなどはなく、駅を出るといきなり雑踏の中に放り出される。周辺には小さいながらも個性的なお店が連なった商店街と、車の進入を拒むような狭小(きょうしょう)な路地が広がり、ブラブラ歩くには格好の町である。 駅周辺には情緒あふれる商店街が広がっている B級グルメにアート、ソフビまでそろう町・江古田 申し遅れたが、自分は東京スリバチ学会の会長として、都心の谷間や窪地(=スリバチ)に着目し、日々都内の町をブラブラしている変人だ。渋谷・四ツ谷・市ヶ谷・谷中など、「谷」のつく地名が多いことにも表れているように、「山の手」と呼ばれる東京都心部には、無数の谷間や窪地が存在する。しかも、そんなスリバチの