三井住友信託銀行 調査月報 2017 年 8 月号 経済の動き ~ 豪州の長期成長を支える産業構造の二面性 1 豪州の長期成長を支える産業構造の二面性 <要旨> 豪州経済は 1991 年第 3 四半期以来、約四半世紀にわたり拡大が続いている。資源ブ ームの終焉にもかかわらず豪州経済が不況に陥ることなく成長を維持しているのは、成 長の牽引役が 2010 年代半ばを境に鉱業・外需から家計消費・内需にシフトしたことに起 因する。その背景としては、豪州経済が持つ産業構造の「二面性」、すなわち東南部を中 心とする「先進国型」経済と、西部に典型的な「資源国型」経済から構成されるという、ハ イブリッド的性格が挙げられる。 一方で、豪州経済は牽引役交代の過程で実施された金融緩和により、住宅ローン債務 を中心とする家計債務の拡大という別の脆さを抱えるようになった。豪州中銀が利上げ に向かう可能性が高まる中、