『10+1』連載 「現代住宅論」第4回 難波和彦 クリストファー・アレグザンダー再考 最近、若い建築家や建築研究者がクリストファー・アレグザンダーのデザイン理論に注目している。大きな潮流になっているわけではないが、彼らの紹介を通じて、アレグザンダーのデザイン理論は再び見直されるような予感がする。彼らは現時点でのアレグザンダーのデザイン理論に注目しているが、それだけでは彼の理論の可能性を十分にくみ取ることはできない。僕の考えでは、現在の彼の理論よりも1960年代の初期アレグザンダーの理論の方に学ぶべき可能性がある。初期の理論はデザインのあり方を根本的に問い直しているからである。現在のアレグザンダーの理論は1960年代から紆余曲折を経て辿り着いた彼なりのひとつの終着点である。僕たちには彼とは異なる展開の選択肢があるのではないかと思う。 僕は1960年代末にアレグザンダーに出会って以来、