「誤報だらけだ。朝日も、日経も、日本の新聞はいったいどこを取材して記事を書いているんだ。石油メジャーや石油連盟のプロパガンダに乗っかり、単純化したバイオ燃料悪玉論ばかりを報じて続けている。〈さとうきび〉のブラジルと、〈とうもろこし〉の米国とは根本的に生成が違うのに、同じ食糧価格高騰の犯人だと決め付けている」 5月、ブラジルを訪れた筆者に、猛烈な勢いで怒りをぶつけたのは政府関係者のひとりだった。その直前、首都ブラジリアで開かれていたFAO(国連食糧農業機関)の分科会でも、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領が、国連担当官に対して次のように激しい怒りを表明していた。 「バイオ燃料を排斥することこそが、本当の意味での『人道に対する罪』だ。排斥は、食糧とエネルギーの不足に苦しむ国々の依存度を高め、不安定化させることでもある。バイオ燃料が食糧価格の高騰を招いているというFAOの批判には驚きを隠