こんな話を聞いた。 3人が配属されていた部署で、そのうちの1人が鬱で休職してしまった。 もともと3人でもかなり限界に近い仕事量だったのだが、人員補充もなかったため、残された2人は本当にキツイ状態で仕事をしていたそうだ。 先日、その2人のうちの1人が転勤することになったのだが、異動直前のある日、彼は道端で偶然、休職中の元同僚を見かけた。 彼は、どうしようかと迷いつつ、結局、「お世話になったことは間違いないし、転勤の挨拶くらいはキチンとしておくべきだろう」と考え、休職した元同僚に声をかけようと近づいていった。 その次の瞬間、彼が目にしたのは、「自分の顔を見たとたんに顔色を変え、走ってその場から去っていく」同僚の姿だった。 彼は寂しそうに、「なにも逃げなくでもねえ……」と呟きながらジョッキを傾け、周囲で聞いていた人々は、「そりゃ酷いよね……あの人が休職したから、あんなに仕事がキツくなってたのに…