ウクライナ脱出を試みた米軍事アナリスト兼ジャーナリストのルーベン・F・ジョンソンさんと妻のイリーナ・サムソネンコさんはロシア軍に捕えられ、尋問されたあげく、空港の地下の貯蔵庫に拘束された。それを知った18歳の息子が両親の救出を画策する。 【写真を見る】空港で見た混乱と絶望 ロシア兵たちが私の車に向かって銃を発砲した瞬間、もうダメだと死を覚悟した。ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から8日目のことだ。私と妻のイリーナ・サムソネンコは、大急ぎでスーツケースとふたつのキャリーバッグにありとあらゆる貴重品を詰め込んだ。いまならまだイルピンの駅まで無事にたどり着ける——そう思いながら、運転手を雇った。イルピンはウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外の小さな田舎町で、ロシア軍によるミサイル攻撃がはじまってから、私と妻はこの近くで暮らす友人のゲストハウスに避難していた。駅を目指して車を走らせるや否や、私たち