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ブックマーク / magazine-k.jp (88)

  • 読書という〈遅い文化〉を守るために投じた一石――幻戯書房・田尻勉さんに聞く

    今年の4月2日、ある出版社の公式ブログにこのような記事が投稿され、大きな話題になった。 出版流通の健全化に向けて 小社の刊行物をご購読いただきありがとうございます。 日のほとんどの出版社は、読者の方々への販売を取次会社(卸売会社)と書店(従来の売り場をお持ちの書店、インターネット書店あわせて)に、販売面で助けられています。ほとんどの読者のみなさまは書店で小社のをお求めいただいているものと存じます。昨今、出版物全体の販売が落ち込むなか、書店の経営も厳しくなり、小社のを店頭においていただける書店も限られております。すべての書店に小社のが配されることはむずかしいのが現状です。しかし、手にとってお求めいただく機会を小社としては維持していただきたいと思っております。ただのコンテンツとしてだけでなく、手にしていただいた時の手ざわり、装幀も、書店店頭で、ご覧いただきたいと思っております。 そう

    読書という〈遅い文化〉を守るために投じた一石――幻戯書房・田尻勉さんに聞く
  • 読書専用端末の時代は終わったのか

    先月の終わりに、電子出版ビジネスの草分け的存在であるイーストの下川和男さんから、古くなったり壊れたりして使えなくなった電子書籍端末を肴に語り合う会、名付けて「昔の読書端末放出放談会」にお誘いいただいた。 ちょうど「マガジン航」で西牟田靖さんが、亡くなられたノンフィクション作家の蔵書の形見分けについての記事を書いてくれた直後だったこともあり、「紙の」と「電子の(こちらは端末のみで中身は読めないのだが)」それぞれの最後の身の処し方について考える機会になると思い、参加した。 この会に持ち込まれた端末は、どれも基的に動かないジャンク品である。アマゾンのKindle DX(初期の大画面タイプ)やバーンズ・アンド・ノーブルのNook(やはり初期型)、ソニーのReader(北米版のやはり初期型)といった比較的有名なものから、オランダのiRex Technologies(バーンズ・アンド・ノーブルに

    読書専用端末の時代は終わったのか
    lost_and_found
    lost_and_found 2018/09/03
    スマホの電池がもったいないから読書には今でも専用端末を使ったりするけどプラットフォーム中心の時代であることは認めざるをえない。
  • ロジスティックス革命と1940年体制の終わり

    「マガジン航」のエディターズ・ノートは毎月1日に公開することにしているのだが、今月はどうしても考えがまとまらないまま最初の週末を越えてしまった。理由はほかでもない、出版物流の限界がはっきりと露呈してきたからであり、それを前提とした出版産業の未来をポジティブに考えることが難しいと思えたからである。 取次自身が認めたシステム崩壊 出版関係者の多くが読んでいると思われる二つのネット連載が、この問題に触れている。まず小田光雄氏の「出版状況クロニクル」は6月1日の記事(第121回)で「新文化」(4月26日付)や「文化通信」(5月21日付)などが伝えた大手取次のトーハン、日販の経営者の生々しい発言を紹介している。 「出版業界は未曽有の事態が起こりつつある」(トーハン・藤井武彦社長) 「取次業は崩壊の危機にある」(日販・平林彰社長) こうした大仰な発言の背景にあるのは、取次という出版流通ビジネスの屋台骨

    ロジスティックス革命と1940年体制の終わり
  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

    書誌情報の「脱アマゾン依存」を!
  • 第4回 デジタル時代はマンガ編集者を変えるか?

    旧来のマンガ編集者の役割 長年、日のマンガ業界、とくに雑誌では、マンガ家と編集者、あるいはマンガ家と原作者、編集者がタッグを組んでひとつの作品を生み出してきた。マンガ家と編集者は企画について話し合い、編集者は必要な資料を集めたり取材の手配をしてマンガ家をサポートする。 「新連載でボクシングの6回戦ボーイを主人公にしたい」というマンガ家・ちばてつやの希望をきいた「週刊少年マガジン」の担当編集者・宮原照夫が、原作者の梶原一騎を紹介し、そこから名作『あしたのジョー』が生まれたというエピソードはあまりにも有名だ。 編集者とマンガ家がアイディアを出し合い、マンガ家や原作者がそのアイディアをシノプシスにまとめあげて、ネーム原稿(セリフと大まかなコマ割りが入った状態)が上がれば、マンガ家の仕事場や近所のファミレスなどでさらにブレスト。マンガ家は、編集者のダメ出しをもとに修正を加えて、OKが出ればいよい

    第4回 デジタル時代はマンガ編集者を変えるか?
  • 出版デジタル機構がNetGalleyを始めた理由

    出版デジタル機構がNetGalleyというサービスを始めた。NetGalleyを直訳するなら「ネットのゲラ」。これだけでは意味がわからない。 いま出版社は、書籍の発売前にプルーフ版(仮刷り版)をつくり、新聞や雑誌の書評欄担当者や書評家などに送ることが多い。これを紙ではなくデジタル(PDFまたはePUB)に置き換えたものがNetGalleyだ。ただし、紙のプルーフ版は出版社が一方的に送るが、NetGalleyはサービスに登録した会員のなかから出版社が選んだ人物に送る。 出版デジタル機構の新名(にいな)新社長からこのサービスの話を聞いたとき、これはいいなと思った。わたしにもときどき出版社からプルーフ版が送られてくる。以前から「これがデジタルだと楽なんだけどな」と思っていた。ふだんを買うときは、まずデジタルで探すのが習慣になっているから。以前、iBookで献してくれた出版社があって、これは快

    出版デジタル機構がNetGalleyを始めた理由
  • いま本をどう売るか――ウェブ、イベント、書評

    村上春樹の4年ぶりの長編(新潮社によれば「7年ぶりの格長編」)『騎士団長殺し』が2月24日に発売された。当日は各地の書店で深夜零時からの発売に向けたカウントダウンや読書会など、さまざまなイベントが行われた。 私も都内の大型書店で行われた深夜零時からのカウントダウン&即売イベントに参加した。発売日夕方にこのをめぐってラジオの生放送で話をする仕事があり、その前に確実に手に入れたかったのだ。 「まだ大丈夫かな?」と不安に思いつつ、発売数日前にこの大型書店に向かって手に入れた整理券の番号は39。案外と若い数字に驚いた。当日の集合時間ちょうどに会場に着いたときも、すでに集まっていた人の数は思ったよりも少なく、殺到という感じではなかった。カウントダウンの瞬間までには長い行列ができたが、その一部は、当日の呼び込みで並んだ人たちだった。 一つしかない特設レジで、あらかじめカバーがかけられ、手提げのビニ

    いま本をどう売るか――ウェブ、イベント、書評
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

    1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]
  • 孤軍奮闘の作家をサポートするオーサーライト

    「一生のうちに一度でもいいからを出してみたい」――そう思う方は多いのではないだろうか。 昨今では、その夢は叶いやすくなったのかもしれない。商業出版や「自費出版」(著者がコストを負担する紙のの出版代行)といった今までの道に加え、テクノロジーの発展によって、電子書籍の形でコストをほとんどかけずに著者自身が行う出版(「自己出版」)も可能になったからだ。アマゾンの「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」を利用して、好きなように書いたコンテンツを電子として販売したり、日であれば「note」のようなコンテンツ課金が簡単にできるサービスを使ってブログを有料出版することも可能だ。 しかし、自己出版が可能になったからといって、一人で何から何までやるのは容易ではない。また、たとえ商業出版をしたとしても、の存在を広く知ってもらい、財布のひもを緩めてもらうところまでこぎつくのは並大抵ではない。

    孤軍奮闘の作家をサポートするオーサーライト
  • 新しいウェブ世界構築のための議論

    2013年6月、CIAに勤務していたエドワード・スノーデンは、アメリカ合衆国の国家安全保障局(NSA)が日を含む世界の38ヵ国の大使館に対して盗聴を行っていたことを暴露した。ワシントンのEU代表部に対しては、職員のパソコンの作業ログをのぞき見ることも行っていた。また、英国の政府通信部(GCHQ)はネット上の通信記録から個人を特定することを行っていた。 このように、現代のウェブでは利用者のプライバシーが国家によってないがしろにされている。このことに多くの知識人は危機感を抱いている。 非集中型ウェブ・サミット:ウェブをオープンにしよう World Wide Web(ウェブ)の発明者でW3Cの創設者であるティム・バーナーズ=リー、TCP/IPプロトコルの共同開発者でインターネットの父と呼ばれるヴィント・サーフ、そしてインターネット・アーカイブの創設者で所長であるブリュースター・ケールが一堂に

    新しいウェブ世界構築のための議論
  • 出版営業が『まっ直ぐに本を売る』を読む

    4年前の秋の夕暮れ。1時間に1のローカル線の駅から歩いて20分。バスも廃線となった北関東の幹線道路脇を私はテクテクと歩いていた。世間では涼しくなってきたとほざいているが、注文書を入れた重いかばんとともにいるので、汗だくである。 「せんせー、せんせー、せんせー、せんせー」 ロードサイドを中心に展開するとあるチェーン書店の自動ドアを開けるなり、就業時間を終え、すでに私服に着替えていた彼女が呼びかける。何度も呼ぶのは癖なのか何なのかよくわからない。 「せんせー、『割戻し』って歩戻しのこと?」 書店員なのだが、簿記の学習中のため、アポは「退勤後!」というご指定である。要するに、営業で訪問しているはずなのだが、やっていることは勉強の指導である。こっちは汗を引かせたいので一服したいところなのだが、お構いなしに話を続ける。 「ウチらだと『歩』じゃん。『割』の方が大きいよね」 「あー、似ているけど違うか

    出版営業が『まっ直ぐに本を売る』を読む
  • 機械が「読む」時代の知に対応するために

    ICT の多様化により、そこで生み出される情報量が爆発的に増えている情報爆発の時代を、私たちは生きている。呼吸するように、インターネットから情報と知識を得ている。呼吸していることを自覚することが稀であるように、その情報や知識がなぜインターネットから得られるのか、考えたことがないのがほとんどだろう。 Google検索の結果得られる情報や知識は、検索対象となるようあらかじめ準備されている。つまり「機械が読める(machine readable)」状態に加工が施されていてはじめて、検索の対象となり、検索結果として表示される。 新聞、雑誌、書籍から人間が目で活字や図画を追うことで「読める」のとは違う、「機械が読める」状態への加工が必要なのだ。たとえば文字にはひとつひとつコードが振られていなくてはならない。その文字列がその文章のタイトルなのであれば、タイトルであると機械がわかるようタグを付与しておか

    機械が「読む」時代の知に対応するために
    lost_and_found
    lost_and_found 2016/02/15
    神宮司さんがマガジン航デビューだと!?
  • 電子書籍の「失われた◯◯年」に終止符を 〜続・「電書再販論」に思うこと

    これまでの経緯 こんにちは。この「マガジン航」で以前、電子書籍への再販制度導入について、書かせていただいたことがあります(リンク)。 その時は、再販導入を主張する鈴木藤男氏(NPO法人わたくし、つまりNobody副理事長)、落合早苗氏(hon.jp代表取締役)の主張を、主に経済学的な観点から、分析しました。 紙幅の関係で、「電書再販論」のもう一人の主張者である、高須次郎氏(日出版者協議会会長、緑風出版代表)の所論については、「後編」に回すことにしたのですが、その「後編」を書きあぐねているうちに時間がたってしまいました。すみません。 今回、「後編」として、「電書再販論」について、さらに詳しく書かせていただきます。 そもそも「再販制度」とは? はじめに、出版物の「再販制度」とは何かについて、ちょっと整理しておきます。 独占禁止法では、商品の生産者や供給者(この場合は出版社や取次)が販売者(こ

    lost_and_found
    lost_and_found 2015/10/05
    出版デジタル機構フルボッコ
  • 私設雑誌アーカイブ『大宅文庫』の危機【後編】

    京王線・八幡山駅で下車し、左手に都立松沢病院の蒼とした木立を眺めながら大宅文庫(公益財団法人・大宅壮一文庫)へと向かう。この道を、いつも一人で、しかも、複雑な心理状態で歩いていた記憶がよみがえる――。 サラリーマン編集者をしていた20〜30代の頃だ。ある時は、予定していた取材先だけではページが埋まらず、締め切りが迫る中、急遽、ネタを探し直さねばならず焦っていた。またある時は、企画会議の直前だというのに手持ちのネタがなく、急ごしらえであろうが企画をひねり出さなくてはという不安に押しつぶされそうになっていた。そして資料を漁り終えると、一目散で編集部に戻らなければならない。街を眺める余裕すらなかった。何度も通った八幡山なのに、自分はこの街のことをほんとんど知らないことに気がついた。 大宅文庫に「行く人」と「行かない人」 実を言うと、今回、正式な取材の申し込みをする前、誌「マガジン航」の編集・

  • Editor’s note

    「マガジン航」のリニューアル後、最初のエディターズ・ノートです。昨日の記事で、今年2月に東京・新宿の紀伊國屋サザンシアターで行われたシンポジウム「公共図書館はほんとうにの敵?〜公共図書館・書店・作家・出版社が共生する「活字文化」の未来を考える」の記録を、公益社団法人日文藝家協会が発行する「文藝家協会ニュース」特別号から全文転載しました(「公共図書館はほんとうにの敵?」マガジン航、7月9日)。 開催後、このシンポジウムについてはウェブ上にいくつもレポートが掲載されました。たとえば産経ニュースは5月16日の【日の議論】という欄で、『悪い図書館「究極の寄贈図書館は東京拘置所」…市民にとって“気持ちいい図書館”が当に良いのか』という記事を掲載しています。ちなみにこの記事では以下のようなリード文が掲げられています。 話題の新刊が並び、新聞も主要各紙を読むことができ、市区内に複数の館が開設さ

  • 聖なるテクノロジー〜『テクニウム』の彼方へ

    60年代の米西海岸のカウンターカルチャー全盛期に、トム・ウルフの『クール・クールLSD交感テスト』の主人公ケン・キージーがスチュアート・ブランドに連れられて、マウスの発明者として有名なダグラス・エンゲルバートが開発していたNLS(oN Line System)というシステムを見学しに来たときのことだった。 当時エンゲルバートは、コンピューターとネットワークを駆使して、人間の能力を高める研究をしていた。キージーはメリー・プランクスターズ時代にマリファナ所持で逮捕されて数年経っており、オレゴンの酪農牧場に引退しようとしている最中だった。デモを見たキージーは驚きのあまり眼を見開いたまま、「これこそ、LSDの次に来るものだ」と言うと、大きくため息をついた。コンピューターが作り出す情報のバーチャル世界に圧倒され、これが脳を破壊してしまうドラッグを使わなくても、LSDのように人間の意識を高める何かであ

  • 楽天Koboライティングライフが日本で開始

    12月18日午前10時、「楽天Koboライティングライフ」のベータ版がリリースされました。7月の東京国際ブックフェアでは「年内リリース」と予告されていたので、「なんとか間に合った」といったところでしょう。リリース当日、渋谷の楽天カフェで行われた記念イベントに行ってきましたが、懇親会では関係者の方々が少しほっとしたような表情だったのが印象的でした。 コンセプトは「出版に自由を」 イベントはまず楽天ブックス事業 副事業部長 田中はる奈氏が、楽天Koboライティングライフのコンセプト「出版に自由を」について説明しました。 ・著者がストレスなく簡単にコンテンツを出版できること ・著者ができる限り多くの読者へアクセスできるようにすること ・著者が自分のを効果的にプロモーションする体制を整えること それを実現するための特徴は、以下の3つとのことでした。 ・価格を無料に設定できる ・独占配信じゃなくて

  • 中国語繁体字の標準化にぶつかって

    今年の10月、私はサンフランシスコで行われるW3C主催のTPACというイベントとブック・イン・ブラウザ会議に参加するため、シリコンバレーに向かった。 太平洋を越えて台湾からアメリカ西海岸へ行くには、とても費用がかかる。数年前、私がまだ取材記者だった頃は、東京、香港、上海、サンフランシスコ、クパチーノなどで行われるIT企業主催のメディアツアーによく招待された。しかしいまや私は、収益の安定しないスタートアップ企業の経営者である。いちばん安い宿と航空券をみつけても10万台湾ドル(日円で約40万円)の出費となり、自分の事業になんら利益をもたらさないかもしれない旅行にとってはとても痛い。 そこで私は、9月に自分のブログに、この会議に参加しなければならない理由を書いた記事を投稿して資金援助を募り、ペイパルと銀行の口座を用意した。二週間もしないうちに、クラウドファンディングは成功した。 標準化の世界と

    lost_and_found
    lost_and_found 2014/12/13
    董さんマジ偉い
  • 電子コミックの未来はどこに? « マガジン航[kɔː]

    今年は6月に講談社の月刊マンガ誌「少年ライバル」、秋田書店の老舗青年コミック誌「プレイコミック」が休刊。9月には小学館の月刊マンガ誌「IKKI」、集英社の同じく「ジャンプ改」と大手出版社のマンガ誌で休刊が相次いでいる。いずれも販売部数的には苦戦してきたが、個性的な作品を数多く連載し、それらの単行の売上で雑誌の赤字をカバーしてきた雑誌だ。単行が雑誌の赤字をカバーしきれなくなった、とすれば、マンガ不況を象徴するような事態である。 2014年は紙から電子への転換点 紙のマンガ出版が苦しんでいる一方で、勢いがあるのが電子コミックだ。 2014年8月、NHN PlayArtが運営するスマートフォン向け無料コミック配信サービス「comico」の人気作品『ReLIFE』(作画・宵待草)の単行がアース・スター エンタテイメントから発売され、たちまち10万部を超えて話題になった。電子コミックといえば、

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  • Editors’ note

    今年の春に日語訳が刊行されて以来、ことあるごとに人に薦めているがあります。アメリカの新人作家、ロビン・スローンの『ペナンブラ氏の24時間書店』(東京創元社)という小説です。 これがどういう作品で、ロビン・スローンがどういう人物であるかは、他のサイトでこんな記事を書いたことがあるので、そちらを参照していただくとして、なぜ多くの人に『ペナンブラ氏〜』を読んでほしいかというと、このは私がずっと抱いていた不満をズバリと言い当て、しかもスカッと解消してくれるだったからです。 それはどんな不満か。ようするに、「が好き」な人はウェブやテクノロジーの話題に疎く、逆にITやネットの専門家とは、について突っ込んだ話をすることが難しい。文理融合の呼び声がかかって久しいですが、少なくとも日では「二つの文化」(C. P. スノー)の間の壁はいまだに高く、溝は深い。しかしこの小説は、「」と「コンピュー