チェレプニンに引き続き、次は江文也です。同様に刘再生《中国近代音乐史简述》(人民音乐出版社、2009年)からの抜粋で、訳文は森岡葉さんからご提供いただきました。 江文也は台湾出身、日本に留学して音楽家としてデビュー、戦時下に中国大陸へと渡る。日本の敗戦後、一時は漢奸容疑で逮捕もされたが、再び北京で音楽家としての活動を開始。しかし、文化大革命で再び受難…たいへん波瀾万丈な生涯を送った人物です。彼についてはこのブログでも以前に色々と書き込んだことがありますが、音楽という観点から近現代東アジア史を考える上で非常に魅力的なテーマだと考えています。 ところで、私が彼について読んでいたのは日本語文献もしくは台湾で刊行された文献が中心なので、どうしても視点が1945年以前に集中してしまい、1945年以降の大陸における彼の生涯の印象が薄くなっていました。原書は中国音楽史の本ですので、当然ながら彼を中国音楽