「飄々と始まった増税論議(経済アナリスト 森永 卓郎氏)」 消費税は、低所得者ほど実質負担が大きい逆進的な税制だと言われる。低所得者は収入のなかから消費に回す割合が大きいから、税率は同じでも、所得の低い層ほど実質的な負担が大きくなってしまうのだ。 ところが、総会前に開かれた2日の企画会合の議論のなかで吉川洋主査(東大大学院教授)は、消費税増税は逆進的ではないかという指摘に対して、次のように主張したと報じられている。 「社会保障は低所得者ほど給付が大きい。生涯にわたる所得でみれば(消費税の逆進性は)深刻ではない」。 つまり、年金にしろ何にしろ社会保障は低所得者に手厚くなっているのだから、取るときも低所得者からとって問題はないというわけだ。これが本当に東大教授の発言なのだろうか、唖然としてしまう。 わたしが改めて言うまでもないが、低所得者に手厚く分配するから社会保障なのである。そうした再分配効