中学一年の二学期。 基本的に他人を信用しなくなったのはこのときからだ。 感情とは他人に見せるものではないと学習したのもこのときだ。 自分の喜怒哀楽の全ての操作を他人の手中に奪い去られるなど、 自分の喜怒哀楽の全てが他人の意のままに「笑い」にされ「怒り」にされ「慰みものにされる」など、 まともな神経を持つ人間であれば、それはおよそ耐えられるものではない。 自衛するためには、自分自身を守るためには、相手が誰であろうと決して感情を顔に表して見せないこと。 感情というものを全て否定し自分の中から消し去ること。 それが最善にして唯一の防衛策だった。 他人は信用できない。 絶対に信用してはならない。 信用した瞬間に自我が他人の手中に奪われ、時と場所を選ばず永遠に嬲り者にされる。 それが真実だった。 ぱっと見サワヤカな人間こそが最も疑わしいという原則を見出したのもこのときだ。 それはクラスの中心ではなく
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