ピアノの原型は、今からちょうど300年前の1709年に、フィレンツェのルネサンス的君主デ・メディチ家の末期にチェンバロの製作者として同家に仕えていた北イタリアの都市パドバ生まれのバルトロメーオ・クリストーフォリによって、チェンバロの改良型として製作された。 事実、この楽器の発明は1711年に当時の有名な文学新聞に、それまでのチェンバロと違って弱音(イタリア語でpiano)と強音(同forte)を区別して自在に弾けるクラビチェンバロとして、clavicembalo col piano e forteの名前で紹介された。 だが、クリストーフォリ自身もそう呼んだように、すぐに簡単にpianoforte(ピアノフォルテ)と呼ばれるようになった。今でもピアノはイタリア語ではピアノフォルテと言わねばならない。 だが、このピアノの原型が現在の姿になるまでには、多くの楽器職人による改良に次ぐ改良が加えられ