米東部マサチューセッツ中心部から少し離れた住宅街にあるハーバード大学宇宙物理研究所の小さな講義室。 「さて、先週の続きから始めよう」 集まった10人ほどのスウェット姿の学部生たちの前に、紺のスーツに赤色のネクタイを締めたアヴィ・ローブ教授(62)は、宇宙物理について数式を使って語り始めた。 ローブ教授は自分のフォーマルな装いと学生たちのラフな服装のギャップを気にもとめず、遅刻した生徒にも気さくに話しかける。 ハーバードの天文学科長を史上最長の9年間務めたローブ教授は、ここ数年、米大手メディアに多数出演している著名人だ。 ハーバード大のアビ・ローブ教授=2024年2月、米マサチューセッツ州ケンブリッジ、合田禄撮影 彼を取り上げたネットフリックスのドキュメンタリー番組も企画されているほか、個人的に興味を持った資産家からも豪華なディナーに招かれることもあるという。 ある「発見」がきっかけだ。 2