テーマ:「延命治療」とは何か? 無意味な治療と必要な治療を分けるもの 救急医は本能的に、苦痛を感じている患者さんを目の前にすると、「苦痛を取り除きたい」「救命したい」という本能を持っている人種です。夜中の救急外来で多忙を極める時など、冷静な判断力が低下しているときほど本能が前面に出てくるものです。 ずいぶん前になりますが、救急外来で勤務をしている後輩救急医から午前2時に「心不全の治療で悩んでいます」と電話がありました。 50歳代の男性が夜中に息苦しくなって救急車で搬送されたとのことです。血圧が非常に高く、血液中の酸素濃度も非常に悪い。胸部エックス線写真では肺に血液がうっ滞している肺水腫という状態で、急性心不全としては典型的な病状です。 緊急の治療が必要な状態なのですが、呼吸状態を改善するためにNPPV(Noninvasive Positive Pressure Ventilatio