ロシアの政府系新聞「ロシア・ガゼータ」は2025年4月7日、同国のレアアース(希土類元素)戦略の核心が北極圏にあると報じていた(参照)。同記事によれば、ロシアのレアアース確認埋蔵量の76%が北極圏に集中し、採掘の100%がこの極寒の地域で行われているとのことだ。具体的には、ムルマンスク州のロヴォゼロ鉱床ではニオブとタンタルが、コヴドール鉱床ではジルコニウムが生産されている。これらの元素は、ハイテク機器や軍事装備に欠かせない素材であり、ロシアが資源大国としての地位を強化する基盤である。さらに注目すべきは、リチウム鉱床の開発計画だ。コルモゼルスコエ鉱床とポルモストゥンドロフスコエ鉱床は、2025年に試験採掘が始まり、2030年までに年間4.5万トンの炭酸リチウム生産を目指す。これは電気自動車(EV)や蓄電池の需要増に対応するもので、ロシアがエネルギー転換の時代に備える姿勢を示す。 この北極圏戦