<渋谷/初日/ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス新作> こっちにだって言い分はあるんだよ。終わってしまった男女関係をふりかえって、男も、女も、お互いにそうおもうのである。だからこそ、何かひとこと言いたくなるのだ。自分が感じた悲しさやみじめさについて。相手といながら、ひとりでいる時よりも孤独を感じた瞬間について。『(500)日のサマー』(’09)が「男の言い分」であるとすれば、本作は「女の言い分」にまつわる映画である。脚本を書いたのは、劇中ヒロインであるルビー・スパークスを演じるゾーイ・カザン(83年生)で、彼女はこの脚本を通じて、おそらくみずからの恋愛経験をベースとしながら物語を組み立てている。 主人公は、十代で成功した小説家である。しかし彼はその後スランプに陥り、処女作の発表いらい何も書けないまま十年が経過している。ところが、彼が夢で見た理想の女性について書き始めたところ、インス