かつて爆音上映を売りにした映画館があったが、こちらは極音だそうだ。極上音響上映のことで、実施しているのは東京都立川市のシネコン「シネマシティ」のシネマ・ツー。5つの劇場すべてにコンサート用スピーカーを配し、作品ごとに音響の専門家に調整してもらっているという。目指すは、他の映画館では体験できない特別感だ。 3月13日、この日の「極音ナイト」の上映作品は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した音楽ドキュメンタリー映画「バックコーラスの歌姫〈ディーバ〉たち」だった。インタビューの受け答えでは特に気がつかなかったが、コンサートのシーンになると途端に音がきらきらと輝き出す。特に重低音がずしりと響き、まるでコンサート会場にいるかのような臨場感に包まれた。 「ここまで本格的になるには、段階を経て積み上げてきたものがあります」と説明するシネマシティ番組担当の椿原敦一郎さん(46)によると、シネマ・ツ