実銃や爆発物の扱い方(たとえばスパイ映画やゲームなんかによく登場するサイレンサーも、完全に音を消せるわけではなく、ボムボムとそれなりにでっかい音がする。人の家に忍びこんでは、誰にも気づかれずに、ピシュッピシュッと護衛を静かに射殺したりするが、じっさいはそう都合よくいかない)などだ。
![剣一本で時代の荒波に抗った最強の男と剣豪たち『柳生兵庫助』 深町秋生のコミックストリート](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5c7b248e3b0de58205b1d0abf09af6ba03809cb8/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.sakuranbo.co.jp%2Flivres%2Fcs%2Fassets_c%2F2015%2F12%2Fhyougonosuek-thumb-208x295-25621.jpg)
『シャトゥーン ヒグマの森』で第5回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞した増田俊也氏と会った。当時、氏は中日スポーツの記者でもあったが、印象的だったのは、やけにガッチリとした岩のような体格の持ち主であり、柔道や格闘技に異様に精通していたことだった。酒席の場で格闘ロマンあふれる話を披露してくれたのを覚えている。「やっぱ、スポーツ紙の記者だけあって、よく知っているなあ」と感心した。それ以来、会う機会もなかったので、私にとって増田氏は「格闘技に無茶苦茶詳しいブンヤの同業者」という認識しかなかった。 彼が2012年に『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社 大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞した)を発表したときはひたすらたまげた。木村政彦という稀代の柔道家への敬慕の念と情熱、圧倒的な情報収集力、執筆に18年もの月日を費やしたという恐るべき執念に、激しい嫉
南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 冬の間は暖かい沖縄で過ごしますの。ええ、毎年。今年も二ヶ月ほど滞在してましたわ。 ……などと書くと、当然ながら「優雅だな、コノヤロ」と反感を買うわけだが、年を重ねるにつれて雪と寒さがこたえるようになった。仕事の進み具合は思いきり悪くなり、気分もめっきり落ちこんでしまうという状況に陥る。沖縄はやっぱり暖かく、病気ひとつせずに済んだけれど、そのぶん懐は一気に寒くなった。もう財布はスッテンテンであります。 もう沖縄には5~6回、しかも長期滞在経験もありということで、もう地元民きどりで那覇市を闊歩していたのだが、ジュンク堂で買ったこの本にガツンとやられた。『ご当地グルメエッセイ まんぷく沖縄』(てらいまき 案内人・松永多佳倫)である。 本作品は京都出
南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 小林まことの「劇画・長谷川伸シリーズ」は、コミック界の新たな至宝となるだろう。四部作のラスト『瞼の母』(講談社)を読んで思った。 ……のっけから、ずいぶんと大きく出たが、話を盛りすぎているとは思わない。この21世紀に、どのメディアでもほとんど死滅していた“股旅もの”というジャンルを復活させ、「どこの読者がいるんだ」と言われつつも、作者は次々と名作を発表してきた。 原作は大衆文学の父・長谷川伸……といっても、今さら知っているのはシニア層か熱心な映画ファンくらいではないか、ということは、前作『一本刀土俵入』(講談社)
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! さて、年末であります。今年も恒例の極私的ランキングといきたいところ。 とはいえ、このランキングもいいかげんなもので、「自分が今年読んだ作品」を対象としているので、今年刊行されたものでもなんでもない作品も、ふつうにランクインさせていたのだった。 というわけで、今年は2013年に刊行されたもの限定で、ひとまずやってみたいと思う。それだけでも、心を揺さぶられる作品にいっぱい出会えました。 ●1位『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(渋谷直角 扶桑社) このコーナーの第86回で取り上げているわけですが、やはり何度読み返しても「ひえっ……」と声を漏らしてしまう。「毒にも薬にもなる」傑作と書いたが、毒になるか薬になるかは読者
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 突然ですが、わたくし、このようにネコが好きなのであります。 山形市内の某ネコサロンにて。たくさんのネコ(この写真一枚だけでも10匹写ってる)に囲まれてご満悦だ。今はしょっちゅう旅に出るし、住んでる部屋はペット不可なので、ひとりさみしく生きているのだが、実家では何匹ものネコを飼っていた。累計で7~8匹ぐらいは家にいたと思う。暮らしのそばには、いつもネコがあった。 というわけで、ネコをテーマにしたマンガも読む。みんなアニマルが好きらしく、大きな書店に行けば、ネコやイヌコミック専門のコーナーなんかもあって、もはやマンガの一大ジャンルとなっている。 ネコ好きだから、ネコマンガも好み……と、言いたいところだが、そうは問屋は卸さない。じつを言えば……たいて
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! さて、どうにもパッとしない日々が続いている。まずは個人的な話から。雪ばかり降る山形の天気同様、どうにも気持ちが重くなりがちだ。 そもそも胸に謎の痛みが走ったのが始まりだった。病院に駆け込んだのが12月上旬。心臓の冠動脈になにか不具合があるのか、狭心症の疑いが強いとわかった。食べすぎで腹を壊したり、飲みすぎで頭痛を抱えることはあるが、未経験の苦痛というのはまことに気持ちが悪いもので、ギュギュっと締めつけられるような心臓の痛みにしばらく悩まされた。 血圧はけっして高くなく、冠動脈がつまったというわけでもない。仕事がいくつか重なったせいか、急に寒くなったのが悪かったのか……原因はけっきょくわからないが、心臓の血管がちょくちょく痙攣をしているとわかった。
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! この企画、ドンピシャだ。いい仕事だなあ……。 前回紹介した小林まこと×長谷川伸の股旅物も、「いいプロジェクトだ」とウットリしたもんだけど、こうしたコラボレーションもので取り上げるべき作品が、もうひとつある。 丸尾末広による猟奇小説のコミック化がそれで、2008年の『パノラマ島綺譚』(江戸川乱歩原作 エンターブレイン)で、第13回手塚治虫文化賞新生賞を受賞したのをきっかけに、歴史的傑作小説のコミック化を手がけ、マンガ業界を賑わせている。 それにしても、キャリア30年を超すマンガ界の魔神・丸尾末広に「新生賞」とはなんなのだろうと思ったけれど、「斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者に送られる」賞なのだそうな。 丸尾末広といえば、マンガ作品
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! やっぱこれだよ、こうでなくちゃ。 思わず膝をピシャッと叩いた。とにかくカッコいい。惚れる。憧れる。たまらん。このシリーズ、あと10年ぐらい続けてほしい。読み終えてから改めて思った。 なんの話かと言えば、大御所マンガ家・小林まことが手がける「劇画・長谷川伸」シリーズのことである。先月発売された最新刊の股旅物『一本刀土俵入』(講談社)の完成度の高さに舌を巻いたのだ。『関の弥太っぺ』『沓掛時次郎』に続くシリーズ3作目だが、今回の『一本刀土俵入』は、原作自体を知らなかったため、物語に没頭。不覚にもラストで涙をボロボロこぼしてしまった。 「おもしろい。これはぜひコミックストリートで取り上げなければ……」とパソコンを起ち上げたが、いざ書こうと思ったところで悩
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! なんちゅう物語を作ってくれるんや……。 思わず本を持つ手が震えた。いや、すばらしい。今年のベスト級のおもしろさだ。海外グラフィック・ノベル『WE3(ウィースリー)』(グラント・モリソン作 フランク・クワイトリー画 堺三保訳 小学館集英社プロダクション)である。 原書は、アメリカのコミック出版社DCコミックス内の成人向けレーベル「バーディゴ」から発売された。『ウォッチメン』や『Vフォー・ヴェンデッタ』など、アダルティかつ残酷な作品を発表しているところ。『WE3』も、手加減なしの暴力描写が特盛り。血と銃弾が飛び散る物騒な内容だ。 だが主人公は、アメコミ風のコワモテなスーパーヒーローではない。愛らしいラブラドール犬・茶トラ猫・白ウサギの3匹だ。それぞ
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! ごく個人的な話だけれど、「強い女」にめっぽう弱い。 たまにインタビューされると、「あなたの作品は、強い女性がいっぱい出てきますねえ」と尋ねられる。あまり意識したつもりはないが、自分の作品を読み返すと、たしかに腕自慢な女丈夫や、鋼のような精神の女傑を、いっぱい登場させている。こういうところで、書き手の内面、好み、性癖がバレるものだなあと思った。 ちなみにハリウッドの巨匠ジェームズ・キャメロンも、かなりこの「強い女」フェチで有名だった。シュワルツェネッガーが演じた殺人マシーンで有名な『ターミネーター』『ターミネーター2』では、その殺人マシーンから逃れるヒロインが、やがてめきめきとタフな女戦士に成長。『2』で息子とともに、新たな刺客と壮絶なバトルを繰り
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 最近、ネットを見ていてびっくりしたのが、「今、裁判傍聴デートが熱い!」という記事だった。どこで目にしたのかは忘れてしまったが。 読んで字のごとく、裁判を傍聴して、知的かつ野次馬な好奇心の両方を、無料で満たせるということで、若いカップルの間で流行しているんだそうな。法廷が。本当かどうかは知らないけれど、それだけ日本でも裁判が身近になったということなのだろう。「法廷で会いましょう!」という挑発の文句は昔からあるけれど、今はどうやらそういう時代のようなのだ。 同様に傍聴モノというのも、すっかりエンタメのひとつとして定着したようで、ライターによる文章だけでなく、コミックや映画、テレビドラマと多方面のメディアで見かけるようになった。今回取り上げる『裁判長!
南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! ホッケーマスクのジェイソン、あるいは人の夢に出現するフレディ、海水浴客を狙うジョーズや、家じゅうを暴れまわるポルターガイスト。 いろんなところに書き散らしているが、そうした多くの怪人・幽霊よりも、ずっとおそろしかったのが、かつての平松伸二作品に出てくる悪役だった。和製ダーティハリーと言うべき『ドーベルマン刑事』(集英社)や、現代版必殺仕事人『ブラック・エンジェルズ』(集英社)は、子供時代の私を「世の中というのはこんなに怖いものなのか……」と震え上がらせたものだった。 掲載されていたのが少年誌だったにもかかわらず、登場するのは良心のカケラもない極悪非道なワルばかり。人を奴隷のように扱う管理売春の暴力団だの、善良な市民に狼のように襲いかかる暴走族だの
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