ブックマーク / takeda25.hatenablog.jp (22)

  • 「許す」と「赦す」の件(みんな間違っている) - アスペ日記

    「シャルリー・エブド」誌の翻訳の問題がホットなようです。 銃撃の政治紙「すべては許される」と預言者風刺 「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題 「許す」と「赦す」は同じ意味ですよ 私から見ると、みんな三者三様に間違っています。 (最初に書いておきますが、ここでは主に日語表記について述べ、シャルリー・エブド誌の表紙という題にはあまり触れません) 関口涼子氏の間違い まず、関口涼子氏の間違いから。 Tout est pardonnéを、「すべては許される」とすることで、この読みの多様性が全て消えてしまう。 もうすでにあちこちで指摘されていますが、「許す」は「赦す」を含んでいます。 現代日語で「許す」と「赦す」が排他的に使い分けられているなんていうことはありません。 で、こういうときには必ず、常用漢字(当用漢字)云々という人が出てきますが、それも誤解です。

    「許す」と「赦す」の件(みんな間違っている) - アスペ日記
    machida77
    machida77 2015/01/16
  • なぜ誤訳指摘をしたか - アスペ日記

    善意のひどい訳についてについての補足を書く。 まず、「なぜ指摘を公開でやったのか」ということから。 「アスペ日記」というタイトルで日記を書いてはいるけれど、「こんなふうに誤訳指摘したら気ぃ悪い(感じ悪い)*1よなぁ」ぐらいの感覚はぼくにもあった。 じゃあ、なぜそうしたか。 その理由を箇条書きしてみる。 この記事を書くことで、id:ymotongpoo さんの傷口に塩を塗るようなことになるかもしれないけれど、許してもらえればと思う。 1. 翻訳記事の読み方について考えるきっかけになると思った。 元記事は、ぼくが最初に見たときは100ブクマも行っていなかったと思うけれど、みるみるうちに伸びて、300ブクマを超えた。 あれだけ誤訳の多い記事が、ただ漫然と消費される様子に疑問を持った。 日語だけ読んでもおかしなところがある(指摘箇所を見てもらえばわかると思う)翻訳なのに、みんな適当に目を滑らせて

    なぜ誤訳指摘をしたか - アスペ日記
    machida77
    machida77 2014/10/15
    誤訳指摘の思惑と反応。間違いの指摘に対してやたら攻撃的な反応をする人がいる。
  • 善意のひどい訳について - アスペ日記

    2014/10/14 追記: 補足記事を書きました。なぜ誤訳指摘をしたか ぼくは、ずっと昔から「ひどい翻訳」というものに憤りを感じてきた。 以前、別の記事に書いたこともある。 統計学を拓いた異才たちのようなひどい翻訳を見るたびに、どうして世の中からはこの手の悲劇がなくならないのかとため息が出る。 この前、またひどい翻訳を目にする機会があった。 C言語でプログラミングする際の覚書 ちょっと原文と比較すると致命的な誤訳がいくつも見つかる、最低クラスの翻訳だ。 やれやれと思いながら、翻訳のひどさを嘆くコメントをはてブに残して、ツイッターに流した。 pretty printers を優秀なプリンターと訳しているのを見て、これはちょっと手のつけようのない何かだと悟った / “C言語でプログラミングする際の覚書(Notes on Programming in C) - YAMAG…” URL 2014

    善意のひどい訳について - アスペ日記
    machida77
    machida77 2014/10/12
    『C言語でプログラミングする際の覚書』の訳と訳者とのやり取りから。
  • 「履く」と「穿く」が面倒なことになったいきさつ - アスペ日記

    ズボンやを「はく」というのは、どう書くか。*1 ご存じの方は多いと思いますが、これはけっこうやっかいな問題なんですよね。 もっとも、「あ、これ正解知ってる」という人もいるでしょう。 ズボン・スカートは「穿く」で、は「履く」でしょ、と。 ここで、「じゃあ、下は?」となると、問題が急に面倒になります。 というのは、下を「はく」をどう書くかについては、辞書によって主張が分かれているからです。 国語辞典 調べてみたところ、下を「履く」派と「穿く」派の辞書は、以下のようになっていました。 「履く」派: 広辞苑、大辞泉、大辞林、新明解*2 「穿く」派: 三省堂国語辞典、明鏡、旺文社国語辞典、角川国語辞典、集英社国語辞典 かなり拮抗していますね。 でも、この問題が複雑になったのはどうしてなんだろうというのが、私にとっては前から疑問でした。 というのは、漢字の意味、つまり中国語での意味を考えると

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    machida77 2014/07/28
    一つの言葉である「はく」の漢字が使い分けられるようになった経緯と混乱。
  • TeX の発音 - アスペ日記

    今さら、TeX の発音が話題になっているようです。 TeXはテック もう何度目だというぐらい目にしている気がするのですが、この問題は質的にややこしいのでどうしようもないですね。 この問題について書かれているページのひとつとして、以下のものがあります。 「TeX」の読み方はテフ、それともテック? これは非常に詳しく書かれていて、付け加えることなんてないようにも思えますが、ほかの言語の事情も含めて書いてみます。 まず、クヌース自身の書いていることから。 上記のページにある通り、彼は「TeXを知っている人は、TeXのχをxとは発音せず、ギリシャ語のchiのように発音する」と明確に書いています。 発音記号では [tex](「テッフ」のような音)となります。 この [tex] を正式発音と考えると話は簡単です。 いくつかの言語では、この正式発音をもとにして、それぞれの言語流の発音をしています。 ロ

    TeX の発音 - アスペ日記
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    machida77 2014/04/29
    各国の言語にあわせて考えるTeXの読み
  • 「了解」は失礼か? - アスペ日記

    最近、「了解」は失礼だという説が出てきているようです。 どこの誰が言い出したのか知りませんが、ごく最近であることは確かです。 少し前のマナーには、そんなことは書いてありません。 たとえば、2003年のこれだけは知っておきたい! 改訂版 ビジネス・マナーハンドブックには、次のようにあります。 しかしそうしたルールができていない社外の人からのメールを受信したときには、「メール、受けとりました」「その件、了解しました」など、簡単でよいからすぐに返信し、… また、2005年の「こんなことも知らないの? 大人のマナー常識513」というマナーには、次のような記述があります。 内容に疑問のあるときにはその点を記して送信しますが、そうでなければ「メール拝見しました。○○の件は了解しました」などと簡単な返信でかまいません。 しかし、2008年の「信頼される社会人へのパスポート敬語検定」*1には、次のよう

    「了解」は失礼か? - アスペ日記
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    machida77 2014/02/09
  • 「障害」書き換え説,あるいは戦前の雑さ - アスペ日記

    いつごろから広まったのか知りませんが、“「障害」は来「障碍」と書くのに、戦後になって「障害」と書くようになった”という俗説があります。 結論から書きます。 「障害」は戦前からある書き方です。 今はGoogle ブックスという便利なものがあるので、画像を貼っておきます。 法律年鑑 第十三巻(昭和十二年) 別表ニ掲グル身體障害二以上存スルトキハ重キ身體障害ノ該當スル等級ニ依リ障害扶助料ヲ支給スベシ 百聞は一見にしかず、ですよね。 この話はここでおしまいです。 …なのですが、どうしてこの手の俗説が絶えないのか、少し考えてみます。 この考え方の背景には、「社会は間違っている、自分は正しいことを知っている」という中二病的心理があるように思います。 典型的なのが、コラムニストの小田嶋隆さんに絡んでいる次のツイートのようなものです。 @tako_ashi 障がい者を障害者となぜ書くのかというと 来は

    「障害」書き換え説,あるいは戦前の雑さ - アスペ日記
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    machida77 2014/01/13
    戦前の使用例から。
  • 「間髪をいれず」が殺された日 - アスペ日記

    最近、マイナビウーマンが「日語を貧しくしようキャンペーン」を展開しているようです。 じつは読み間違ったことのある漢字1位「貼付」 間違っている読み方が定着していると知らずに使っていた日語1位「輸入(ゆにゅう)【正】しゅにゅう」 「正しい日語」ネタはPVが稼げるのでしかたないのでしょうが、日語が金儲けのネタにされるのを見ると悲しくてなりません。 この中で、見逃せないのは次の部分です。 ■番外編:これは明らかな間違いです ・間髪を容れず(かんぱつをいれず)【正】かん、はつをいれず「これだけは知っていた」(26歳男性/学校・教育関連/事務系専門職) ■間髪をいれず(×かんぱつをいれず→○かんはつをいれず) こういうのは、いい大人が見たらあきれてしまうところです。 「何をバカなことを言っているんだ、『かん、はつをいれず』なんて聞いたことないよ」と。 もちろん、中国語や漢文をやっている人であ

    「間髪をいれず」が殺された日 - アスペ日記
    machida77
    machida77 2013/12/01
    マイナビウーマンの漢字の読みについての記事の件。実態から離れて特定の読みを正しいと言い出す例。
  • 「歳」「憶える」「嗤う」…それっぽい漢字 - アスペ日記

    最近、かっこいい漢字を見かける機会が増えました――というのは、前回の記事で書いた話ですが、今回は「訓読み」の話です。 その中でも、最近特に増えた感のある 歳(とし) 憶(おぼ)える 嗤(わら)う を取り上げてみたいと思います。 「年」と「歳」 「とし」という言葉には「年齢」という意味があり、「彼のとしは30を越えている」「としを取る」「もうとしだ」のように使いますが、この「とし」を書くのにどの漢字を当てるでしょうか。 年? 歳? 齢?*1 まあ、どれを使ってもいいでしょう。 日語と中国語は別の言語なので、日語の言葉にどの中国の文字を当てるかに正解はありません。 しかし最近になって、この「とし」が「歳」と書かれているのを見ることがだんだん多くなってきました。 まあ、確かに「歳」のほうが「年」よりもそれっぽいというのはわかるのですが、そのうち「年」を間違いだなんて思う人が出てくるんじゃない

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    machida77 2013/10/13
    今回も難しい漢字を古いもの、正しいものだとする誤認について。
  • カッコイイほうの漢字 - アスペ日記

    「醱酵」って漢字、見たことあるでしょうか。 「発酵」の別の書き方です。 「日」「月」に対する「日蝕」「月蝕」などもあります。 難しい分だけ、かっこいいですよね。 これらの「かっこいいほうの漢字」のことを、ぼんやりと「旧字=来の字=正しい字」とか思っていたりしませんか? 最近、こういう「かっこいいほう」の漢字を見る機会が増えました。 マイナーなところでは、「○○年 没」を「○○年 歿」とか、「麻痺」を「痲痺」なんていうものもあります。 まあ、スタイルとしてならそれもいいでしょう。 私も中学校ぐらいのころは旧漢字の練習をしたりしていました。 でも、中二あたりを過ぎた大人で、上に挙げたようなものを「正しい」とか言っちゃってる人がいたら、恥ずかしい人ですので大いに笑ってあげてください。 (ところで、ここでは「嗤う」が正しいとか思ってしまうような人も「笑い」ものです) この記事を書こうと思った

    カッコイイほうの漢字 - アスペ日記
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    machida77 2013/09/15
    画数が多い方を正しい、あるいは古い書き方と思いがちである。竜と龍とか。
  • 「子ども」表記に関する Q&A - アスペ日記

    えーっと、これまで何百回も書かれていることで、今さら自分が何か付け加えることもないのですが。 (じゃあ書くなと言われそうですが、当たり前のことを繰り返し書くために書きます) 「子ども」は「交ぜ書き」じゃありません。 「子ども」は「交ぜ書き」じゃありません。 (ry 「交ぜ書き」というのは、普通「漢語」についていいます。 「漢語」、つまり音読みの漢字からなる言葉です。 「いや、音読みとか訓読みとかはどうでもいい、交ぜて書くから交ぜ書きだ、だから『子ども』も交ぜ書きで、交ぜ書きには一切反対だ」とおっしゃる人もいるかもしれません。 そういう人はどうぞご自由に。 ただ、その基準で言うと「お昼」「お湯」なども交ぜ書きなので、同じぐらいの情熱で「御昼」「御湯」を推進してくださいね。 そもそも、「子ども」表記は戦前からあります。 (Google ブックス「ドン・キホーテ」より) このは大正四年の大人向

    「子ども」表記に関する Q&A - アスペ日記
    machida77
    machida77 2013/09/02
  • 韓国の漢字 - アスペ日記

    韓国の漢字教育が「失敗」した理由という記事がちょっと話題になっていた。 かなりツッコミどころの多い記事だが、それはちょっと置いておいて、まず「韓国での漢字の実情」のようなものを書いてみたいと思う。 ぼくは韓国語がそれなりにできるし、Twitter韓国人をフォローしたりもしている。 そういうわけで、たまに日人が韓国人に「漢字がなくて不便じゃないの?」と質問しているのを見ることもある。 結論からいうと、まったく困っていないというのが彼らの答え。 彼らからしてみると、どうして日人がそういう疑問を持つのかというのが逆に疑問なぐらいだ。 漢字のない韓国語は平仮名だけの日語と同じ? 漢字がないというと、日語をオール平仮名で書いたようなものを思い浮かべる人が多いようだ。 だが、韓国語と日語ではだいぶ事情が違う。 主な要因を二つ挙げる。 同音異義語の多寡 一番大きな要因はこれだろう。 つまり

    韓国の漢字 - アスペ日記
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    machida77 2013/06/26
    朝鮮日報に書かれた韓国の漢字事情の記事について、実際には不都合が少ないという指摘。朝鮮日報が漢字使用に積極的なメディアゆえの記事ではないかという話。
  • ひっくり返したら意味が変わる熟語・変わらない熟語 - アスペ日記

    漢字熟語の中には、ひっくり返しても似たような意味になるものがある。 外国:国外 白黒:黒白 回転:転回 左右:右左 中途:途中 糧:糧 生死:死生 文例:例文 習慣:慣習 それぞれ使いどころやニュアンスは少しずつ違うけれど、だいたい同じような意味になる。 これらは、主に三通りに分類できる。 (1) 回転:転回、習慣:慣習、糧:糧 (2) 白黒:黒白、左右:右左、生死:死生 (3) 外国:国外、中途:途中、文例:例文 どういう基準で分けているかわかるだろうか。 (1) 似たような意味の漢字を並べたもの 「」と「糧」には、どちらにも「たべもの」という意味がある。だから、それらを組み合わせた「糧」や「糧」も、やはり「たべもの」という意味になる。 そもそも、なぜ似たような漢字を並べた熟語があるのか。 それは中国語の話になる。 同じような表現を並べて意味を強めるということはいろいろな言

    ひっくり返したら意味が変わる熟語・変わらない熟語 - アスペ日記
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    machida77 2013/06/04
    面白い話。読んでいたら意外な展開に。
  • 「〜足りうる」という書き方 - アスペ日記

    ちょっと前に、次のようなタイトルの記事を見てびっくりしたことがある。 セルフパブリッシングはなぜ初音ミク足りえないか? これを見たときは、頭が痛くなる気持ちだった。 電子書籍とはいえ、「書く」ことに携わる人間が、どうやったら「足りえない」なんて書き方ができるんだ? と。 そう思ったが、その時はただ「こんなアホもいるのか」と、個別の人間の問題に帰して流してしまった。 しかし、つい先日、次のようなを目にして言葉を失った。 誤訳も芸のうち―文芸翻訳は一生の仕事足りうるか (柏艪舎文芸シリーズ)posted with amazlet at 13.05.29山光伸 柏艪舎 売り上げランキング: 406,117 Amazon.co.jpで詳細を見る*1 「文芸翻訳は一生の仕事足りうるか」という副題。 これは電子書籍ではなく、紙のだ。 出版されるまでには、何人もの出版関係者の手を経ているはず。 そ

    「〜足りうる」という書き方 - アスペ日記
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    machida77 2013/05/29
    新聞データベースで見ると、80年代からこの書き方があった(多くはない)/「信頼に足りうる」といった表現から誤解が広まったのではないかと推測する。
  • 翻訳の品質管理 - アスペ日記

    に住んでいると、あらゆる物・サービスの品質が高いレベルで保証されていることが自然に期待できる。 そんな日にいて、唯一*1品質に信頼がおけないものがある。 それが「翻訳」。 高校生ぐらいのころ、英語と日語訳を読むようになって、そのことに気がついた。 最初の経験は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のノベライズ。 バック・トゥ・ザ・フューチャー (新潮文庫)posted with amazlet at 13.03.30ジョージ・ガイプ 新潮社 売り上げランキング: 243,145 Amazon.co.jpで詳細を見る 最初に英語版を読んでから、この日語版を読んだ。 翻訳は全体として非常に読みやすい。 だが、ところどころ明らかに英語と違い、そのために意味が通らなくなっているところがある。 原文と突き合わせてみると、明らかな誤訳だ。 というものに対して、ある種の権威を感じていた自分に

    翻訳の品質管理 - アスペ日記
    machida77
    machida77 2013/03/31
    翻訳の品質の不安定さ。もしちゃんと体制を整備してやるとなると翻訳をチェックするのは翻訳作業より大変かもしれない。
  • 岩波文庫は ISBN のルールに従っていない - アスペ日記

    まず宣伝から。 最近、カフカ「変身」を翻訳して Kindle に出しました。 おかげさまで、ロイヤリティが缶ジュース一分をちょうど越えたところです。 もう一人買ってくれたら自販機のペットボトルが買えるぐらいになります。 世の中ちょろいですね。 まあ、それはともかく。 Amazon に消されたを救出したいを読んで。 「変身」を訳す際に、著作権の切れた原田義人氏のバージョンを参考に訳し、訳し終わってからは誤訳がないかチェックするため、既訳をいくつか購入しました。 それで、手元には岩波文庫の 変身・他一篇(カフカ 作/山下 肇 訳) 変身・断芸人(カフカ 作/山下 肇・山下 萬里 訳) があります。 上記記事を読んで、裏の ISBN を見てみました。 まったく同じです。 で、「変身・断芸人」のほうの奥付を見てみると、 1958年1月7日 第1刷発行 2004年9月16日 改版第1刷発行と

    岩波文庫は ISBN のルールに従っていない - アスペ日記
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    machida77 2013/03/21
    図書館で書誌データいじっている人なら誰でも知っているが、時折出版社の都合か有名無実となっている例がある。
  • 虫の「羽」は正しい - アスペ日記

    最近、NHK のニュースで「昆虫 昔はもっと羽があった」というものがありました。 このブコメ*1に「昆虫の『はね』は『翅』と書くのが正しいんじゃないの?」と思っている人がいるようなので、また記事を書くことにしました。 例によって、実例から入ります。 虫について「羽(根)」が使われている例です。 螽蟖の記 室生犀星 (1965年) きりぎりすは昼間もなくが、風が吹くとなく。風が吹くと羽根さばきがらくになり、気持よくなけるらしい。 黄金虫 エドガー・アラン・ポー 佐々木直次郎訳 (1951年) あの虫はどこからどこまで、羽根だきゃあ別だが、外も中もすっかり、ほんとの黄金虫でさ。 クララ 林芙美子 (1947年) 羽根の生えた蟻のような蟲がぶうんと山吹の枝へ飛んで來て兩手でお祈りをしています。 番茶話 泉鏡太郎 (1942年) 蟲(むし)は、美(うつく)しい羽(はね)も擴(ひろ)げず、 こうして

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    machida77 2013/03/18
  • 「本来」の日本語を捏造する人 - アスペ日記

    思い込みを補強するために資料を探す人っていますよね。 日語の問題に限らないと思いますが。 自説に都合のいいもの以外をガン無視する人。 今回は、日語に関してそのようなものを見たので、ここで取り上げてみたいと思います。 日語には「目をみはる」という表現があります。 この「みはる」は漢字で書くとどうなるのか。 結論から言うと、「見張る」でも「瞠る」でも、またもちろん平仮名で「みはる」と書いても、間違いということはありません。 ですが最近、次のような記事を見つけました。 瞠ると見張る この人の思い込みは、次のようなものです。 目を大きく見開くの意味の「みはる」は「瞠る」が来の表記ではないのだろうか。瞠が常用漢字の表外字であるため、代用表記として「見張る」も許容されるようになったというのが自分の理解である。 「自分の理解である」と言っておきながら、その後の論はすべて、この理解が正しいという前

    「本来」の日本語を捏造する人 - アスペ日記
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    machida77 2013/02/05
    「目をみはる」を例に、特定の表記や用法を本来あるべきものと思い込んでしまう問題。
  • ネットに広がる「正しい」日本語 - アスペ日記

    ネットで日語を観察していると、「正しさ」を求めて知恵袋などで質問する人がいます*1。 「ラジオを『つける』というのはどう書くのが正しいの?」 「『分かる』『解る』『判る』はどう使い分けるのが正しいの?」 一方で、ネットではいろいろな「正しさ」の主張も目にします。「訊く」や「目をみはる」については、これまでここで扱いました。 「正しさ」の主張としてよくあるのは、「来はこう書くのが正しいが、当用・常用漢字によってそれがゆがめられた」というものです。 ただ、そういう人が思う、ゆがめられる前の「正しい」日語というのは、実は昔から「スタイル」のひとつにすぎないということが多いのです。 以前記事にした「訊く」はその典型ですが、今回は 失(な)くす*2 点(つ)く・点(つ)ける 保(も)つ の三つを取り上げます。 この三つに共通するのは、「これまで平仮名で書かれることが一般的だった」ということです

    ネットに広がる「正しい」日本語 - アスペ日記
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    machida77 2013/02/03
  • 「元旦=元日の朝」説、あるいは日本語のトリビア化について - アスペ日記

    今回は、「元旦=元日の朝」説について。 きっかけは、ある Twitter アカウントの発言から。 元日の意味で元旦を使っている文を探すだけの簡単なお仕事 これを見て思った。 あぁ、この人は「元旦=元日の朝限定」だと思っているんだな、と。 この俗説は、昔からチラホラと耳にすることがあった。 もっとも、昔であればそういうネタは特に広がることもなく、大きな害もなかったところだ。 だが、インターネットはそういうものを際限なく増殖させる性質を持っている。 だから、そういう俗説に対しても、これまでのように流しているだけではまずいと思い、記事を書くことにした。 まず、「元旦」という単語の起源から。 この単語は、中国語から日語に入ったものだ。 比較的古い*1用例としては、宋代の「夢粱錄/卷01」という文献に 正月朔日,謂之元旦,俗呼為新年。(正月のついたちは、元旦といい、俗に新年と呼ぶ) というものがあ

    「元旦=元日の朝」説、あるいは日本語のトリビア化について - アスペ日記
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    machida77 2013/01/05
    元旦は元日の朝のことだという俗説への注意。