『日本の「失われた20年」』(藤原書店)で手堅い実証と周到な論理で、日本の長期停滞を明快に分析したエコノミスト片岡さんの待望の第二作です。本書の目的は、「為替レートの動向と日本経済への影響、さらに政府および日本銀行の政策対応を分析することで、日本経済を苦しめているデフレと、デフレを原因とする「過度な円高」をどうしたら避けることができるのかを論じ」るものです。 現在の円高と日本経済の関連、そもそも為替レートとは何か、また国際通貨制度の変遷とその中における日本経済が実に丁寧に解説されています。しかも初歩的な知識をおさえながら最先端の話題までいっきにすすんでいく筆致の冴えもあいかわらずです。また本書では重要ポイントを何度も繰り返し整理することで読者がどこに自分がいるのかを意識することができる丁寧なつくりで、編集者と筆者の間の努力が実を結んでいます。 本書の内容の一部分を以下にメモ書き程度に書いて