飲食店のドアに「福島県民お断り」の張り紙があった。避難先の学校で「放射能がうつる」といじめを受けた。東京電力福島第1原発事故直後の風評被害の一例である。今も被災者の心に傷が残る▼パニック状態になると人間の醜い本性が現れるのだろうか。過去の戦争や災害ではデマや特定の人に対する差別や偏見が広がり、数々の悲劇を生んだ。現在の新型肺炎の問題でも同様のことが起きている。中国人への誹謗(ひぼう)中傷が相次いでいるという▼ネット上では「中国人は日本に来るな」という言葉がトレンドに。「中国人がテロでウイルスをまいた」「青森で武漢から来た人が病院に運ばれた」などデマが飛び交う▼中国人以外にも影響が及ぶ。厚生労働省には患者を治療した病院関係者から子どもが差別を受けたという相談があった。フランスではベトナム人女性が「ウイルスを広めるな、汚い中国人め」とののしられたほか、新聞は「黄色に警戒を」と報道。黄色人種の日