二男がいつ頃からボールを投げ、おもちゃのバットを振り回し始めたか、はっきりした記憶がない。 運動が今一つの長男の練習に付き合っているうちに、気が付くと5歳違いの二男の方がメキメキと腕を上げていた。 活発で負けず嫌いな二男は、小学校低学年から地域の野球チームに入り、いつもワンコのように目をキラキラさせながら白球を追っていた。 ひときわ身体が小さかったけれど、内野の守備では誰にも負けたくないと、家でも自主練を重ねて、庭で黙々と素振りをしていた。 「頑張れ」よりも、「ちょっと休め」と声をかけなければならないくらい、野球に夢中だった。 小学生の間は特に、球児の母は、それはもう何かと大変だったけれど、頑張っている彼の姿にいつも励まされた。 一緒に汗をかき、共に悔し涙を流し、共に喜んだ。 そんな日が続くと思っていたし、やがて憧れの甲子園を目指す高校球児と、高校球児の母になるのだと思っていた。 中学の野