恐竜研究の分野で革新的な発見が相次ぐ中国。いまや恐竜種の発見数もアメリカを抜いて世界一となっている。一方で、盗掘・密売や政治関与といった諸問題も少なくない。中国恐竜界の知られざる実情とは。 ここではノンフィクションライターの安田峰俊氏が執筆、古生物学者の田中康平氏が監修を行った『恐竜大陸 中国』(角川新書)の一部を抜粋。中国経済の中心地、広東省で発見された化石にまつわるエピソードを紹介する。(全2回の1回目/続きを読む) ◆◆◆ 9歳少年、広東省でタマゴ化石を大発見【ピンナトウーリトゥス】 近年、中国発のサイバーイノベーションが有名になり日本でも注目されるようになった広東省の大都市・深圳は、市内常住人口の平均年齢が32歳程度という非常に若い街だ。深圳はもともと、香港に隣接していた田舎の漁村だったが、1979年に改革開放政策が施行されたことで急速な発展を遂げたのである。 そんな都市だけに、深