労働関係の法律を読んだりすると、よく「使用者」とか「被用者」とかいう言葉が出てくる。平たく言えば前者は経営者のことで後者は従業員のことなのだが、この言葉の背景にあるのは「使う/使われる」という関係であり、これを言葉通りに解釈すると仕事とは経営者の命令で「やらされている」ものということになる。 たしかに、仕事には「やらされている」と考えないと自分の中でうまく折り合いがつけられない要素も少なくない。毎日毎日、満員電車に乗って同じ時間に出社するのも、付き合いたくないクライアントにも精一杯の笑顔を作って対応するのも、締切に間に合わせるために終電ギリギリまで会社に残って仕事をするのも、仕事がある種の「義務」を伴うものであり、本当はやりたくないけどやらないと給料がもらえないからだ、という理屈に誤りはない。 もっとも、このように仕事を徹底的に「やらされている」と見ることに違和感を覚える人もいるはずだ。給