「アンネ・フランクの家」で特別展示中の「アンネの日記」を見るための大行列の誰一人として脇でテント生活をしている人のことを気にもかけないという、1分で言いたいことが伝わってくるオープニング。まずは1930年代にユダヤ系ドイツ人の多くがオランダへ移住したのは難民を広く受け入れていた態度を信頼してのことだったと思い出したい。それなのに、そして今、という話である。受け継がなきゃならないのは本や名前じゃないだろう、というので日記から「キティー」(声・ルビー・ストークス)が出現する。勿論この映画を見たりその感想を書いたりする者もその向かうところだ。 「アンネ・フランクはどこ?」というタイトルのこの映画における「アンネの日記はどこ?」という皮肉は、いつの時代にも存在する、お話の流通・消費に伴う危険性を表している。「アンネの日記」がアメリカで映画化されたことでベストセラーとなったように、映画にはよくも悪く
「きれい……みんなが死んだ場所なのに」(中川典子) 出版前の本の書評を書くのは,これがはじめてかも! ありがたいことに,ポッドキャストのホスト役をいっしょにやっているブラッド・デロングの近刊を一冊確保できた.出版予定日は9月6日だ.それまでの場つなぎとして,高まってるみんなの期待をこの書評で支えられたらいいなと思う. ブラッド・デロングは現在経済史に関して百科事典のように通暁してる.それでいて,読者をおじけづかせない文体の書き手でもある――かく言うぼくが経済学ブロガーになりたいと思った最初のきっかけは,2000年代中盤に彼のブログを読んだときのことだった.彼の本を読み始めると,その「デロング節」にどんどん引き込まれてしまう――愉快な事実を次から次に繰り出しつつ,デロングのありとあらゆる知識をその物語で統合してみせる.読みはじめは少しばかりとっつきにくく感じるかもしれないけれど,慣れてしまえ
1940年代、第2次世界大戦下の激動の時代を舞台にしたスパイの暗躍を、トニー・レオン、ワン・イーボーという中華圏の新旧スターの共演で描く『無名』(公開中)。物語が繰り広げられる上海といえば、歴史的背景から多様な文化が入り乱れる“魔都”と呼ばれる都市。当時の上海でも様々な勢力がしのぎを削っており、背景を知らないと飲み込みづらい部分も多いので、ここで簡単に説明していきたい。 裏切り者は誰…?陰謀が絡み合うスパイ合戦を描く『無名』【写真を見る】数々のスパイ映画の舞台となった魅惑の“魔都”上海(『無名』)Copyright2023[c] Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved 上海を舞台に約8年間にわたるスパイたちの活動が、過去と現在を行き来するトリッキーな時系列で描かれる本作。中華民国・汪兆銘政権の政治保衛部に勤めるフー(トニー・レ
Korea (n) War Great East Asia War Hector C. Baywater, The Great Pacific War, a History of the American-Japanese Campaign of 1931-33, London: Constable & Co. ltd, 1925. War in the Pacific la guerre du Pacifique la guerra del Pacifico the Pacific War the War in the Pacific (Theater) the Pacific Theatre in the Second World War Donald Lawrence Keene Donald Keene, “Japanese Writers and the Greater East Asia W
O・ヘンリーの「賢者の贈り物」は1905年に初めて刊行された短編で、クリスマスの物語としてとてもよく知られています。短くてあまり英語も難しくないので、学校で教材として読んだという人もいるかもしれません。 この作品は貧しい若夫婦が主人公で、お互いにクリスマスのプレゼントをするため必死にお金を作ろうとするというお話です。妻であるデラは自慢の髪を売って夫であるジムの金時計の鎖を買いますが、一方でジムはなんと金時計を売ってデラの髪に飾る櫛を買っていました。結局、どちらも用途の無いプレゼントを買ってしまったことになりますが、お互いを思いやる2人の愛は素晴らしい……というのがこのお話の結末です。 「賢者の贈り物」は心温まるクリスマスのいい話とされています。しかしながら、私は子どもの頃にこの作品を読んで以来、なんとなくひっかかるものを感じていました。今回の記事では、このひっかかりをジェンダーの観点から読
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2023.12.30 18:00 「ガウェインの結婚」を歴史の授業で使わないで!~中世の英文学と女性がもっとも望むこと 2年ほど前に「世界史講義録」というウェブサイトの「最初の授業」という記事がバズったことがありました。これは高校世界史の授業初回で、アーサー王伝説の「ガウェインの結婚」をとりあげ、歴史は面白い……というような話の枕にするというものです。 詳しくはリンク先の元記事を読んでいただきたいのですが、非常にざっくり説明すると、アーサー王が敵の騎士から「すべての女性がもっとも望むことは何か」という問いを出され、それの答えが「自分の意志を持つこと」だったという話をネタに、「700年から500年くらい前の時代につくられた物語」なのに既に女性の人権に関係するようなトピックを取り扱っていて現代的だ……という内容です。 このウェブサイトの講義は、2009年発行の竹田青嗣『中学生からの哲学「超」入
ケリー・ライカート監督『ファースト・カウ』を見た。 www.youtube.com 1820年代のオレゴンが舞台である。料理人のクッキー(ジョン・マガロ)と、もめ事を起こして逃走中の中国系移民キング・ルー(オリオン・リー)はひょんなことから出会って意気投合する。2人は仲買商(トビー・ジョーンズ)がこの地域に初めて導入した雌牛のミルクをくすね、クッキーが作ったお菓子で一攫千金を狙う。ところがミルクを盗まれている仲買商がそれに気付かないまま、クッキーのお菓子を気に入ってしまう。 開拓地の砦でお菓子を売って儲けようというのはなかなか面白い発想…というか、あんまりそういうことをする人はいないかもしれないが、娯楽の少ない厳しい土地では甘いものが飛ぶように売れてもおかしくないので、いかにもありそうだと思った。ただ、一攫千金のサクセスコメディには全くならず、最後は泥棒がバレ、ケガしたクッキーの脇にキング
配信で『眠りの地』を見た。実際にあった訴訟をもとにした映画である。 眠りの地 トミー・リー・ジョーンズ Amazon ミシシッピで葬儀屋を営むジェレマイア・オキーフ(トミー・リー・ジョーンズ)は資金繰りに困って大手の葬儀会社であるローウェン社に事業の一部を売却しようとする。ところがローウェン社が約束を守らなかったため、家業を守るため訴訟に打って出る。若手の弁護士ハル(ママドゥ・アチェイ)のすすめでカリスマ性のある弁護士ウィリー(ジェイミー・フォックス)を雇ってローウェンに立ち向かうことにする。 大企業が地元密着型の企業を策略でつぶして寡占を目指そうとするのに訴訟で対抗するという話で、ジェレマイアもローウェン社の面々も白人なので、一見したところ全く人種問題などには関係ない…ように思えるのだが、実は人種問題がいろいろ絡んできていて、アメリカ合衆国ではいかに人種間の不平等が経済活動の前提となって
このまま遺作になってしまいそうな2021年現在ジョン・カーペンター最後の監督作『ザ・ウォード/監禁病棟』の確かパンフに載っていたのだがカーペンターファンの映画評論家かなんかが対談で「女子高生がカーペンター好きとか言ってたら嫌だもんw」とか言っていて、なにもこれが総意とは思わないが典型的なカーペンターファン男性の心情を見事に代弁しているなと思った。 ジョン・カーペンターといえば「男」の映画監督である。なぜならカーペンターの映画には男ばかり出てくるし男っぽいものばかり出てくるからである。まことに明快であるが果たしてカーペンターはそんなスッキリと筋の通った映画監督であっただろうか。多少色が付いても土産物屋に並ぶ工芸品のような男のB級映画を作り続ける職人監督というのが世に流布する一般的なカーペンター像っていうか映画雑誌とか映画本とかでカーペンターが語られる時の切り口だが、そうした見方からするとどう
11月14日、『The Art Newspaper(アート・ニュースペーパー)』が艾未未(アイ・ウェイウェイ)のロンドンでの個展が事実上中止になったと報じた。 アイは1957年中国生まれで、国際的にもっとも影響力のある現代アーティストのひとり。個展はロンドンのリッソン・ギャラリーで今週から開催予定だったが、直前に無期限の延期が決定された。これに対しアイは「事実上の中止」だと語っている。 リッソン・ギャラリーは、アイがSNSで投稿したパレスチナとイスラエルの情勢をめぐる発言を理由に、作家と話し合いの末、いまは新作を展示するのに適切な時期ではないと結論付けたと発表。「イスラエルとパレスチナの領土、そして国際的なコミュニティにおける悲劇の苦しみを終わらせることに全力を注ぐべきときであり、反ユダヤ主義やイスラム嫌悪とみなされるような議論の余地はない。アイ・ウェイウェイは表現の自由を支持し、虐げられ
というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Living Up to Expectations: Central Bank Credibility, the Effectiveness of Forward Guidance, and Inflation Dynamics Post-Global Financial Crisis」で、著者はStephen Cole(マーケット大)、Enrique Martinez-Garcia(ダラス連銀)、Eric R. Sims(ノートルダム大)。 以下はその要旨。 This paper studies the effectiveness of forward guidance when central banks have imperfect credibility. Exploiting unique survey-based m
Tadashi Nagasawa@『70年代ロックとアメリカの風景』 @Sonopapa 「明らかになるミンストレル・ショーの真実」という文章。 RamonのRaising Cainとかを引いてミンストレル・ショーの成立史をまとめているが、その母体となった「白人の下層階級」がユダヤ人だったという事のなぜ触れないのか疑問。 c-cross.cside2.com/html/b00a0002.… 2015-03-08 20:32:44 kentarotakahashi @kentarotakahash これはアイリッシュよりもユダヤなんですか?QT @Sonopapa 「明らかになるミンストレル・ショーの真実」という文章〜ミンストレル・ショーの成立史をまとめているが、その母体となった「白人の下層階級」がユダヤ人だったという事のなぜ触れないのか疑問。 2015-03-09 02:19:37 直立演
来年撮影へ! - 映画『キック・アス』より - Lionsgate / Photofest / ゲッティ イメージズ マシュー・ヴォーン監督がニューヨークコミコンに出席し、映画『キック・アス』のリブート作品を来年撮影すると明かした。Screen Rant などが報じた。 【画像】美少女ヒットガールことクロエ・グレース・モレッツの13年!成長の軌跡 『キック・アス』(2010)は、マーク・ミラーの同名コミックをもとにしたバイオレンスアクション。平凡なオタク高校生デイヴ(アーロン・テイラー=ジョンソン)が“キック・アス”と名乗り、ずば抜けた戦闘能力を誇る美少女ヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)と共に、ヒーローとして活動する姿を描く。2014年にはヴォーンがジェフ・ワドロウに監督・脚本の座を継いだ続編『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』も公開されている。 ADVERTISEME
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