「オカルト」という言葉は便利だ。常識では説明できない現象や存在といった、多様なモノを一言で云い表わせられる。その不思議さにワクワクしたり恐怖を感じたりと、惹きつけられる魅力がある。しかしオカルトは、ときとして現実の危険を伴う。例えば、「EM菌」の問題がそうだ。土壌改良のために開発されたとするEM菌は、現在のところ科学的な有効性を証明しえていない。にもかかわらず、信奉者が地方議員に働きかけて地域の河川にEM菌をバラ撒いたり、学校のプールにEM菌を培養したと称する液体を保護者が子供たちと流し込んだりという事例が増え、一部の医師は感染症の危険性を指摘している。 そんなオカルトについて、集大成とも云える研究本が発行された。『昭和・平成オカルト研究読本』(ASIOS/サイゾー)がそれで、編著したASIOSは「超常現象を懐疑的に調査する団体」だ。令和の時代を迎え、出版社から昭和と平成のオカルトをテーマ