要旨 日銀の追加利上げの妥当性を考える上では、結果的に失敗に終わった2000年代初頭のゼロ金利解除時に盛んに使われた「ダム論」が参考に。結果としてITバブル崩壊なども相まって2000年秋頃以降に景気が腰折れし、2001年3月には再びゼロ金利政策に復帰せざるを得なくなった。 財務省の法人企業統計季報によると、経常利益は大企業・中堅中小企業とも2020年4-6月期を底に、直近1-3月期には既往最高を更新しており、投入価格の低下に加えて、企業の価格転嫁等に伴い売上高が増加することで利益が創出されている。経常利益の増加要因だけで見れば、必ずしもコスト削減が主導しているわけではなく、ダムの水量が不十分とは言えない。 ダムの高さも知るべく、財務省の法人企業統計季報を基に労働分配率を計算すると、大企業・中堅中小企業とも歴史的水準まで下がっており、過去に比べて企業の儲け見合いで人件費を増やしていない。これ
