日銀が10月31日に予想外の動きに出た時、その効果は世界の金融市場を活気づけ、国内ではデフレからの脱却を目指す安倍晋三首相の政策に新たな息吹を吹き込んだ。 中央銀行の対策の大きさ――日銀は紙幣を増刷し、国内総生産(GDP)の16%に相当する年間80兆円の国債を買い取る――は、人の気を散らす一連の閣僚の不祥事から政治を引き離した。 安倍氏の経済政策は勢いを失いつつある。4月の消費税引き上げは、憂慮すべき消費支出の落ち込みを引き起こした。インフレの最初の芽は萎み始めた。4月に1.5%まで上昇したコア・インフレ率は、9月に1%に低下した。日銀が2015年春までに達成すると言っていた目標の2%を大きく外れている。 一方、日銀の保守的な守旧派が影響力を取り戻し、黒田東彦総裁がデフレ脱却のために「何でもやる」という約束を果たすのを阻止する可能性があるという噂を広める人もいた。 実際、黒田氏は僅差で辛う