LGBTQなど性的少数者や同性婚のあり方を巡り、経済産業省出身の荒井勝喜首相秘書官が3日夜、記者団の取材に「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと差別的な発言をした。首相官邸でオフレコを前提にした取材に対し発言したが、進退問題に発展しかねず、国会で岸田文雄首相の任命責任が問わ…
日本キリスト教団白河教会の竹迫之さん(55)は、10代後半の約2年間、旧統一教会に入信し集団生活を送った。母親に懇願されて縁を切った後は、聖書を学び直して牧師になり、2世信者らの支援に奔走してきた。ほかの宗教者とは一味違った経歴を持つ竹迫さんの目に、社会を脅かすカルトの問題はどう映っているのだろうか。【聞き手・太田敦子】 ――「旧統一教会はカルトであって宗教ではない」という指摘もある。カルトと宗教の違いは何か。
性犯罪規定見直しの試案について議論した法制審議会の部会=東京・霞が関で2022年10月24日午前9時53分、山本将克撮影 法務省は24日、性暴力被害の実態に応じた法制度の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会に対して、これまでの議論に基づいた法改正試案を示した。性的行為に同意する能力があるとみなす「性交同意年齢」を13歳から16歳に条件付きで引き上げ、性犯罪の公訴時効を原則5年延ばすなどの案を盛り込んだ。 試案は、性犯罪の規定全般を見直す内容。若年層の性被害も意識しつつ、より被害者に手厚い保護を図った。ただ、非公開で行われた24日の会議では、試案内容について被害者側から「国民から見て分かりにくい」、法改正に慎重な弁護士側からも「処罰範囲が広がる」とする意見がそれぞれ示されたといい、部会は試案をベースに今後も議論を継続する。
「性暴力について、『嫌ならNoと言えばいい』とか聞こえてきて怒り爆発してる」。日本の映画界で告発が相次ぐ性暴力の問題に、「かぞくのくに」「ディア・ピョンヤン」などの作品で知られる映画監督、ヤン ヨンヒさんはそうツイートした。「権力も腕力もあり、仕事での決定権もある人間が弱い立場の人に迫っておいて、嫌ならば断ればいいとか、性的同意があったかを問うなんてナンセンス」。ヤンさんは自らの複数の性的被害体験を明かしたうえで、こう問いかける。「映画界がクローズアップされていますが、映画界だけの問題でしょうか?」【宇多川はるか】 「ノー」抵抗の声、ちゃんと聞いてくれますか ヤンさんが「怒り爆発してる」とツイッターに投稿したのは4月6日。「嫌ならNoと言えばいい」という声に対し、「じゃあ『ノー』と言ったからって、その『ノー』が受け入れられますか。怖くて、固まって、絞り出すように言う小さな『ノー』から、ちゃ
菅義偉首相が自民党総裁選(29日投開票)に出馬せず、退陣する。1年前に目指すべき社会像として「自助、共助、公助、そして絆」「まずは自分でやってみる」と掲げたが、「自助優先」とも受け取られ、批判が上がった。「コロナ禍で困窮が広がった社会への最悪のメッセージだった」と評するのは、ホームレスの人の支援に長年携わってきたノンフィクションライターの北村年子さん(59)。首相退陣を前に、政治が自助を強調したことの影響を振り返ってもらった。【山下智恵/デジタル報道センター】 助けが必要な人の口を塞ぐ発信 ――菅首相が昨年9月の就任記者会見などで「自助、共助、公助」と発言したことをどう受け止めましたか。 ◆率直に言って、自己責任論が強化される、困っている人が「助けて」と言いづらくなると受け止めました。「まずは自分でやる」なんて誰でも分かっているのです。でも、つまずいたとき、転んだとき、多くの人は一人では起
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、就職氷河期世代支援の政府目標達成に黄信号がともった。政府は2019年12月、氷河期世代について「今後3年間で正社員を30万人増やす」という目標を掲げた。しかし内閣府によると、20年に正社員数はほとんど増えなかった。一方、他の世代をみると、コロナ禍でも人手不足を背景に正社員化が進み、新卒採用も堅調だ。政府がようやく重い腰を上げようとした矢先にコロナ禍に見舞われた「不遇の世代」は、結局支援から取り残されたままだ。【中川聡子/くらし医療部】 予算522億円 正規は「横ばい」 氷河期世代は、1993~04年ごろに新卒で就職活動し、現在は30代後半から40代後半になる。バブル崩壊後の不況期に企業が新卒の採用数を極端に絞り、さらに政府が派遣労働の拡大など雇用の非正規化を進めたことから、企業は人件費を削減するため非正規雇用を活用した。結果的に希望の職に就けず、非正規を
子宮頸(けい)がんなどの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐとされるワクチンについて、厚生労働省は2013年から差し控えている積極的な接種呼びかけの再開に向け、議論を始める。審議会に諮り、来年度からの再開も視野に検討する。 HPVワクチンは小学6年~高校1年の女子は無料で接種できる「定期接種」の対象となっている。だが、定期接種となった直後に全身の痛みなどの症状が相次いで報告されたため、厚労省は対象者に接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」をやめている。 積極的勧奨をやめた後、安全性への不安が広がり、70%以上だった国内の接種率は02年以降に生まれた人では1%未満に低下。厚労省は無料の接種機会を逃す人を減らすため昨年10月、自治体に対して対象者へ個別にHPVワクチンに関する情報を知らせるよう通知した。7月末現在、情報提供した自治体は6割以上になる。
園の規則には、園児が発達障害と診断され、園生活に支障があると判断される時は、退園してもらう場合があるという趣旨の文言が盛り込まれている=遠藤大志撮影 東京都世田谷区にあるスポーツ教育をうたう認可外保育施設の規則に、「発達障害で園生活に支障があるときは退園してもらうことがある」という趣旨の記載があることが毎日新聞の取材で判明した。障害者の差別的取り扱いを禁じる障害者差別解消法に抵触する可能性があり、監督権限を持つ世田谷区は施設に対し修正するよう助言している。 この保育施設は「バディスポーツ幼児園世田谷校」。運営会社のホームページ(HP)などによると、2~5歳児を対象に、保育のほかスポーツに特化した教育を実施している。この施設のほか、都内と神奈川県に系列園や姉妹園が計7カ所ある。
ワクチン接種でのミスを謝罪する遠藤清院長(中央)ら=奈良県生駒市立病院で2021年5月12日午前11時57分、加藤佑輔撮影 奈良県生駒市立病院(同市東生駒1、遠藤清院長)は12日、85歳以上の高齢者と病院職員ら計54人を対象に4月に実施した新型コロナウイルスのワクチン接種で、いずれか1人に誤って生理食塩水を接種したと発表した。病院は誤接種による健康被害の可能性はないとしている。 同病院では4月28日午後2~4時、院内の講堂・交流センターで接種を実施。米ファイザー社製ワクチンが入った「バイアル」(ガラスの容器)9個にそれぞれ生理食塩水を注入して希釈し、できた薬剤を54本の注射器に充てん、接種す…
「自分は女だ」と言って、男性が女湯に入ってくる――。こんな説明を基に、トランスジェンダーの女性を攻撃する動きが広がっている。ここ数年、公衆浴場やトイレなどの女性専用スペースを使うことを問題視する声はネット交流サービス(SNS)で飛び交っていた。それがとうとう国会議員の勉強会でも取り上げられ、政策決定に影響を及ぼしかねない展開になってきた。はっきりさせておくと、こうした主張は明らかに間違いで不当な攻撃だ。専門家に聞きながら、それを解きほぐしていきたい。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】 トランスジェンダーとは、出生時の戸籍の性別とは異なる性別を自認する人を指す。出生時の戸籍の性別が男性で、自分を女性であると認識している人なら「トランス女性」だ。今までトランス女性への攻撃は主にネット上で展開されてきたが、オフライン、しかもあろうことか永田町に飛び火した。 「トランスジェンダー女性が、女性にと
大型連休中の5月1、2日に開催するとしていた、全国各地でマスクを着けずに屋外でピクニックを楽しむ「全国同時ノーマスクピクニックデー」について、主催者は20日、全面中止するとウェブサイト上で発表した。 理由について「予期せぬ形での拡散・報道により、個人的な誹謗(ひぼう)中傷なども多く見られたため、参加者の身の安全を考慮した結果、今回の企画においては全面中止とさせていただきます」としている。 開催の意図について「お互いの表情が見えないことで心身に影響が出ている子ども達(たち)、マスク依存症になってしまった子ども達、今まさに顔認知を養っている赤ちゃんのために、マスクのない世界に少しでも居させてあげたい。これが企画者・賛同者の想(おも)いです。コロナ騒動に疑問を持たず、過剰な感染症対策を受け入れることは、子ども達の成長に大きな悪影響を及ぼすと考え、今回のイベント発起にいたりました。子ども…
新型コロナウイルス感染症の出口が見通せない中、感染者や医療従事者への差別は今も続いている。「コロナ差別」の心理について、「公正世界信念」というキーワードを通じて読み解く村山綾・近畿大准教授(社会心理学)に聞いた。 国内で感染者が確認されてからすでに1年以上。だが今月に入っても、佐賀県では、集団感染のあった県立高校の生徒への差別で、県教職員組合などから県に差別防止対策の要望があった。静岡県でも感染者集団が出た介護・福祉施設への差別をめぐり、社会福祉団体が声明を出している。日本医師会も、昨年10月からの3カ月に医療従事者への嫌がらせや差別が約700件確認されたという調査結果を今月発表した。 村山さんは、「コロナ差別」の背景に「善い行いに良い結果が、悪い行いには罰が伴う」という心理がある、とみる。
通行人へ金銭の支援を求める男性(35)。「顔を写さないなら」という条件で撮影を許してくれた=東京都のJR新宿駅の西改札付近で2021年1月7日午後8時58分、黒川晋史撮影 首都圏で新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出された今月7日夜。JR新宿駅(東京都)の西改札付近を歩いていると、一人の男性の姿が目に入った。雑踏の中で柱を背に座り込み、うつむいている。手に掲げていた段ボールの切れ端には「コロナ等で色々困ってます お願いします」と書かれた文字。通行人が「少ないですけど」と足元のおわんに小銭を入れていく。「ありがとうございます」。男性はやっと視線を上げた。 話を聞こうと声を掛けた。男性は35歳。コロナ禍で職を失い、再就職もかなわなかった。年末年始は友人宅に身を寄せたが、いつまでも頼るわけにはいかず、路上で過ごしながら「物乞い」をしているという。 都は住まいがない困窮者向けに一時滞在用のホテル1
首都圏4知事が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を求めたのに対し、政府がなお発令に慎重なのは、それが政府に残された「最後のカード」だからだ。政府内には、今必要なのは経済活動を大幅に制限する宣言発令ではなく、「3密」になりやすい飲食店の営業時間の短縮拡大だとの認識が強い。2日の4知事と西村康稔経済再生担当相の面会でも西村氏が時短要請の強化を知事側に求めた。 西村氏は面会後の取材で、発令に関し「検査件数が年末年始で少なくなるとも考えられる。陽性者の数も踏まえて専門家にも判断をいただかなければならない。できるだけ早く(政府の専門家)分科会を開かないといけない」と語るにとどめた。菅義偉首相は2日は首相公邸で感染状況の報告を受けたものの、4知事との面会は西村氏に任せ、両者の3時間の面会中に議員宿舎に戻った。
宮崎康平氏が「からゆきさん」をインタビューした際に録音したテープ。「からゆきさんの話(1)」と書いた紙が貼られている=内嶋善之助さん提供 「一日一晩のうちに、49(人と)したよ……」。16歳の少女は、船底で汚物にまみれて海を越え、見知らぬ異国で春を売った。幕末から明治、大正にかけ、貧しさから海外に渡り、娼婦(しょうふ)として働いた女性「からゆきさん」。その一人が約60年前、その過酷な体験を赤裸々に語った約12時間分の肉声がテープに残されていた。からゆきさんが自らについて語ったり書き残したりした史料はほとんど残っていない。この女性はシンガポールで裕福なイギリス人に身請けされ、たくさんの宝飾品を贈られて「ダイヤモンドおなご」と日本人の間で呼ばれた。30歳半ばでホテル経営に乗り出すほど成功したが、帰国後、だまされてほぼ無一文になるなど、波乱に富んだ生涯だった。しかし、海外に渡った女性の存在は地元
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