200人以上の死傷者を出した中国高速鉄道の追突・脱線事故では、安全よりスピードを重視した鉄道部(鉄道省)の利権・腐敗構造に批判が集中している。中央政府は自分の足元に及ぶケースもあるため、汚職官僚を右から左へと単純に処分するわけにはいかないが、批判の目がますます厳しくなるなか、なんとしても国民の不満を解消する方法を探さなければならない状況にある。 中国の「黒社会」一掃キャンペーンっていったい何? 社会矛盾が噴出するなか、指導者は不満を鬱積させる民衆の心理を読み取り、政策に生かそうと試みる。この点において、重慶市共産党委員会書記の薄熙来が2007年11月の就任直後から推進している「打黒」(黒社会一掃キャンペーン)は、一定の効果を上げている。 「黒社会」は日本でいう暴力団のような犯罪集団である。薄熙来は黒社会のメンバーとその関係者1500人以上を一斉に摘発し、銀行口座の凍結や武器の押収を行った。